スタッドレスが使える年数はあくまで目安でしかない! 性能劣化は「保管方法」で大きく変化する (2/2ページ)

10年前のスタッドレスタイヤでも問題なかった例もある

 では、今回のお題のように、10年以上前という極端な例がどうかというと、これも参考になる見解を大手タイヤメーカーが示している。

 要約すると、タイヤはゴム製品であり、経時変化して特性も変化するが、それは環境や保管の条件に左右される。タイヤ販売店等で点検を受けることを奨めるが、外観上は使用可能に見えたとしても、製造後10年が経過したタイヤは交換することを奨める。

 ただし、10年という年数はあくまで目安であって、そのタイヤの実際の使用期限を示すものではない。環境や保管条件及び使用方法によっては、継続使用に適している場合もあれば、この年数を経過していなくても継続使用に適していない場合もある。

 ……と、当然ながら不確定な要素が多いので、ハッキリいつまでとか大丈夫orダメとは記されず、すべてがグレーな書き方がされているのはやむをえないことだと思うが、それぐらいわからないものだと認識してもらえばよいだろう。上記はどちらかというとサマータイヤに向けた内容と思われるが、スタッドレスにも当てはまると考えてよいかと思う。

 ご参考まで、筆者の同業者の知人で氷上性能に優れることで名高い日本のタイヤメーカーのスタッドレスタイヤを10年以上前に購入し、たまにしか使わず、冬以外は「適正」といえる方法でちゃんと保管していたところ、10年以上たったタイヤでもぜんぜん不安なく雪道を走れたそうだ。

 未使用のまま10年ではなく、10年前に使い始めて、10年たっても大丈夫だったという事例で、たまたま大丈夫だっただけだろうと思われるかもしれないが、その知人は、それなりにクルマに詳しくて走れる人。その彼が大丈夫だったというなら、それなりに説得力はあると感じている。

 では、そもそも未使用でも10年経つとどうなるのか? だが、いくら硬化しにくくなったといっても、10年も経てば硬くならないわけがない。スタッドレスタイヤがグリップするロジックは、雪上と氷上では違っていて、ざっくりいうと雪上ではギザギザしたブロックが路面を剪断し、その抵抗力でグリップ力を発揮するのに対し、氷上=凍結路ではブロックに切り刻まれたエッジの効果と抵抗と、低温下でも柔らかさを維持するゴムの粘着力でグリップ力を得ている。前者の性能は経時の影響は小さいかもしれないが、後者の性能は少なからず落ち込んでいるものと思ったほうがいい。

 上記の10年以上経ったスタッドレスタイヤで雪道で大丈夫だったといっていた知人も、氷上では大丈夫ではなかった可能性が高い。

 というわけで、結局のところ、まさしく環境条件、保管条件および使用方法によるわけで、明確な結論は出せず、一概にこうだといえない。あとは、その商品自体のポテンシャルによるところも大きいはず。じつはそこが一番じゃないかと思う。


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