この記事をまとめると
■仲間同士でのツーリングでもあおり運転が適用されるのか考察した
■あおり運転は妨害運転であり妨害運転には危険のおそれがある場合と非常に危険な状態にさせる場合のふたつがある
■仲間同士であっても車間距離を詰めて走っていると「車間距離不保持」となる可能性がある
あおり運転とは危険を生じさせるおそれのある運転をすること
仲間同士でツーリングに出かけるのは楽しいものです。しかし、いくら仲間同士とはいえ、ツーリングに出かける際は道路交通法を守った運転をしなければなりません。今回は、仲間同士のツーリングでも「あおり運転」が適用されるのか考察します。
そもそも「あおり運転」とは?
そもそも「あおり運転」とは「妨害運転」のことです。あおり運転の法律については、令和2年6月の道路交通法一部改正により創設されました。
具体的に「あおり運転」となる運転行為は、「他の車両等の通行を妨害する目的で、無理な幅寄せや車間を詰めるなどの一定の違反行為を行い、他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある運転をすること」(神奈川県警ホームページより一部抜粋)となっています。
また、妨害運転には、「交通の危険のおそれ」と「著しい交通の危険」に分類されます。
【妨害運転(交通の危険のおそれ)】
1)他の車両等の通行を妨害する目的で行われていること
2)行われた行為が「一定の違反行為」であること
3)道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法であること
【妨害運転(著しい交通の危険)】
1)上記妨害運転(交通の危険のおそれ)の罪を犯していること
2)高速道路で他の車両を停止させるなど、道路における著しい交通の危険を生じさせたこと
このように妨害運転には、危険のおそれがある場合と非常に危険な状態にさせる場合のふたつがあります。
これらのなかでも一般的に「あおり運転なのでは?」と疑われやすいのは、無理に車間距離を詰めたり、理由なく急ブレーキをかけたりするなどの行為です。これらは、妨害運転の「一定の違反行為」に含まれます。
【妨害運転となる一定の違反行為】
・対向車線に出る(通行区分違反・道交法第17条第4項)
・危険がないのに急停止したり、急ブレーキをかけたりする(急ブレーキの禁止・道交法第24条)
・前を走行している車両が急停止しても追突を避けるのに必要な距離を保たずに前車を追走すること(車間距離不保持・道交法第26条)
・正当な理由がないのに複数の車線を跨いで「ジグザグ運転」や「蛇行運転」をしたり、後続車が急ブレーキや急ハンドルで避けなければならないのに進路変更したり、進路変更禁止場所(黄色い車線の場所)で進路変更したりする(進路の変更の禁止・道交法第26条の2)
・前車を左側から追い越したり、後方や対向を走行中の車両に危険を及ぼしたりするような方法で追い越すこと(追越しの方法・道交法第28条第1項または第4項)
・前方に走行車がいるのにハイビームで追走すること(車両等の灯火・道交法第52条第2項)
・「警笛鳴らせ」の標識のない場所で、危険がないのにクラクションを鳴らすこと(警音器の使用等・道交法第54条第2項)
・窓から顔や身を乗り出す、並走している車両に幅寄せする、前を見ないで運転するなど他の車両に危険が及ぼすような運転をすること(安全運転の義務・道交法第70条)
・高速自動車国道の本線車道を走行する際、渋滞等の正当な理由がないのに時速50km/hに達しない速度で進行すること(最低速度・道交法第75条の4)
・高速自動車国道または自動車専用道路で停車・駐車すること(停車および駐車の禁止・道交法第75条の8)
これらの違反行為をしたり、他の交通の通行を妨げたり、道路に危険を生じさせたりすると、妨害運転となります。