こんな熱いモデルがあったのかよ! 80年代に登場したクロスオーバーSUV「ゴルフカントリー」が時代を先取りしすぎ (2/2ページ)

近年大流行の「クロスオーバー」の発端となったゴルフカントリー

 フロントに取り付けられた無骨なプロテクトバー、ガラス面の保護カバー付き補助灯&フロントライト、フロントボディアンターカバー、ちょっぴりゴツいタイヤ、リヤゲートのスペアタイヤなど、見た目は「むむっ、かなりヘビーデューティ仕様だな」という印象を受けますが、先ほども申し上げたとおり「中身はまんまゴルフII」なので、走れるのはキャンプ場までのアクセス路がせいぜいです。

 なにしろサスペンションバーもエンジンマウント位置もゴルフIIと一緒みたいですから、凸凹の荒れたラフロードや川の中なんてもってのほか!

 そんなゴルフカントリーのことを「なんちゃってオフローダー」とは呼びたくありません。だってこのクルマこそ、近年では大流行のSUVの先駆けといえるじゃないですか。そもそもSUVとはSport Utility Vehicle(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の略で、直訳すれば「スポーツ用多目的車」のこと。

 つまり、アウトドアや買い物など、さまざまな目的に利用できるスポーティなクルマのことです。そのSUVのなかでも街乗りを重視したモデルが「クロスオーバー」で、オフロード性能を重視したモデルを「クロスカントリー」。

 で、ゴルフカントリーは「クロスカントリー」ではなく、ただの「カントリー」。まぁ、ゴルフカントリーがデビューした当時は、そもそもこういう言葉使いがはっきりしていませんでしたから。そんな時代に、街乗りに適した実用車をアウトドアっぽく仕上げたゴルフカントリーは、まさに「時代の先駆者」だったといえるでしょう(あいにく日本では「時代の寵児」にはなれませんでしたが)。

 クロスオーバー&クロスカントリーなクルマが街に氾濫する現代、ゴルフカントリーはいまさらハマるんじゃないでしょうか。昨今のSUVが流麗なスタイリングばっかりなので、直線を基調としたボクシーなスタイルのゴルフカントリーはかえって目立って良いかもしれません。

 中身はまぎれもないゴルフIIですから、使い勝手も走行性能もすこぶる良好。きっと令和の日本を楽しく過ごせると思いますよ。

 稀少モデルだけにセカンドマーケットで見つけるのは至難の技で、フォルクスワーゲン・ゴルフを専門に扱うショップで見つけるしかないでしょう。

 価格も普通のゴルフIIは150万円から並んでいるのに対し、ゴルフ カントリーは軽く300万円を越える値段みたいです。でも、最新の国産コンパクト・クロスオーバーの代表であるトヨタ・ヤリスクロス(ハイブリッド)が245万円〜、ゴルフ カントリーとほぼ同サイズのアウディQ2が400万円オーバー、同ブランドのフォルクスワーゲンTクロスの人気グレードが350万円〜であることを鑑みると、超々レアで個性溢れるゴルフカントリーをチョイスしてもいいんじゃないでしょうか。


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