手を挙げたのに無視ってどういうこと? タクシーが乗車拒否せざるを得ないケースを元タクシードライバーが解説! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■タクシー側から乗車拒否をされるケースが存在する

■タクシーには「営業区域」が設定されており、乗車する場所または降車させる場所のいずれかが営業区域内でなければならない

■「回送」となっているタクシーは基本的に客を乗せることができない理由がある

どうして手を挙げたのに乗せてくれない?

 乗車した場所から目的地まで運送してくれるタクシー。便利な公共交通機関であるため、頻繁に利用する方も多いでしょう。また、配車アプリが充実したことにより、タクシーを呼びやすくなり、タクシーを利用する頻度が増えた方もいるのではないでしょうか。

 しかし、配車アプリで呼んで待つより直接タクシーを呼び止めたほうが早く乗車できる場合もあります。直接タクシーを呼び止めるとき、場合によっては乗車を断られてしまうことがあるのをご存じでしょうか。今回は、タクシーの乗車を断られてしまう理由を紹介します。

営業区域外での発着する場合は乗車できない

 タクシーには営業区域があります。これはタクシーの乗務員なら誰もが知っていることではありますが、利用者からすると「営業区域? それって縄張り?」と思うかもしれません。

 縄張りとも思えるタクシーの営業区域については、道路運送法に次のように定められています。

【道路運送法第20条「禁止行為」】

一般旅客自動車運送事業者は、発地および着地のいずれもがその営業区域外に存する旅客の運送(路線を定めて行うものを除く)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

20-1)災害の場合その他緊急を要するとき。

20-2)地域の旅客輸送需要に応じた運送サービスの提供を確保することが困難な場合として国土交通省令で定める場合において、地方公共団体、一般旅客自動車運送事業者、住民その他の国土交通省令で定める関係者間において当該地域における旅客輸送を確保するため営業区域外旅客運送が必要であることについて協議が調った場合であって、輸送の安全または旅客の利便の確保に支障を及ぼすおそれがないと国土交通大臣が認めるとき。

 上記の条文を簡単に言い換えると、乗車する場所または降車させる場所のいずれかが営業区域内でなければならないということになります。

 たとえば、東京都内が営業区域となっているタクシーが、神奈川県までお客さんを運送するのは何ら問題ありません。むしろ、このような長距離のお客様はタクシードライバーにとって嬉しいことです。

 また、東京都内が営業区域となっているタクシーに乗ったお客さんが、神奈川県から東京都内の営業区域内まで乗車したいというケースも法律上問題ありません。ただし、遠方から営業区域内まで運送するというのはかなりレアなケースといえるでしょう。

 そして、ドライバーがもっとも気をつけているのは、東京都内が営業区域となっているタクシーが、神奈川県内でお客さんを乗車させ、神奈川県内で降車させるという行為です。これは道路運送法第20条の禁止行為に当てはまり、罰則の対象となります。そのため、タクシーの乗務員は、遠方に運送したあとは回送にして営業区域内まで戻ることが多いです。

 もし、タクシーに乗ろうとしたときに見つけたタクシーが他県ナンバーだった場合、営業区域外での営業となる可能性が高いため、目的地によっては乗車拒否されることがあるのを覚えておくとよいでしょう。

指定の曜日と時間は流しのタクシーに乗車できない! 銀座の乗車禁止地域

 営業区域内であっても法律の定めによりタクシーの乗車を断られる場合があります。代表的なのは、銀座の乗車禁止地域です。

 公益財団法人 東京タクシーセンターによると、銀座の乗車禁止地域について次のように利用者に呼びかけています。

【公益財団法人 東京タクシーセンターのホームページより(一部抜粋)】

この地区はタクシー業務適正化特別措置法により、土曜日・日曜日・祝日及び休日を除く日の午後10時から翌午前1時まで、タクシー乗り場以外でタクシーのご利用はできません。皆様のご協力をお願いいたします。

 つまり、指定されている曜日と時間は、街なかを走っているタクシー(流しのタクシー)を呼び止めて乗車することができないということになります。

 銀座でタクシーに乗車するときは、乗車禁止地域があること、曜日と時間によっては乗車拒否されることがあるということを覚えておくとよいでしょう。


齊藤優太 SAITO YUTA

ライター/インストラクター/ジャーナリスト

愛車
A4 35 TDI
趣味
ドライブ・洗車・音楽鑑賞・楽器演奏
好きな有名人
BLUE MAN

新着情報