この記事をまとめると
■日本では2023年7月に生産中止となったトヨタC-HR
■トヨタC-HRは国内コンパクトSUV市場を牽引してきたモデルだった
■欧州では2023年6月に2代目C-HRが発表されているが日本導入の予定はない
日本では失速も欧州ではいまだ人気モデル
トヨタ「C‐HR」と聞いて、すでに懐かしい響きだと感じる人がいるかもしれない。日本では2023年7月をもって生産中止となり、次期モデル登場の予定は立っていないからだ。
C-HRは2016年に登場したコンパクトSUVの分野で、前衛的ともいえる斬新なボディスタイリングが若年層から中高年までの広いユーザーに指示された。2010年代、C-HRはホンダ「ヴェゼル」やマツダ「CX-3」などとともに、国内コンパクトSUV市場を牽引してきたモデルであった。
だが、2020年代に入るとグローバルでのEV化が加速し始め、またアメリカや中国、さらにインドや東南アジアなどのSUV市場でのトレンドが変わってくるなど、さまざまな要因が国内コンパクトSUV市場にも影響を与えた。
結果的に、日本市場でC-HRが開拓してきた領域は、アジア圏とのモデル共通性を重んじた「カローラクロス」や「ヤリスクロス」などが担うようになり、C-HRの存続が難しくなったといえる。
一方、欧州では2023年6月、2代目C-HRが発表された。初代C-HRから進化した斬新なエクステリアデザインと、デジタルネイティブ世代のニーズを十分に取り込んだインテリアを採用。パワートレインは1.8リッターガソリン、2リッターハイブリッド、そして2リッターPHEVというラインアップとした。
そもそも、このセグメントは欧州で根強い人気がある。
2000年代半ばには、日産がグローバルコンパクトSUVとして、日本で「デュアリス」を発売したが、その欧州モデルが「キャッシュカイ」だ。
筆者は「キャッシュカイ」のコンセプトモデルがスイス・ジュネーブショーでワールドプレミアした際、日産幹部からこのセグメントの重要性について詳しい話を聞いている。その当時は、いわゆる生活四駆のような使われ方が多く、ライフスタイル系というよりは実用車として手軽で便利でちょっとオシャレ、といった商品イメージだった。
トヨタとしては、欧州でハイブリッド車の普及を進めるうえで同セグメントを重要視していたし、また実用性を確保するために4WD仕様の熟成も進め、2016年スイス・ジュネーブショーでC-HRはワールドプレミアされたのだ。
このような欧州市場の状況とこれまでの欧州市場の動向を見れば、欧州では今後も2代目C-HRに対する需要はしっかりと確保できると、トヨタが判断したものと考えられる。
当然、欧州での2代目C-HRへの期待は高く、欧州COTY(カー・オブ・ザ・イヤー)ファイナリストにもその名前が挙がっている。