この記事をまとめると
■東南アジアではタクシーのEV化が進んでいる国がある
■インドのバングラディシュではタクシーのように使われるリキシャーが一気にEV化した
■タイではトゥクトゥクがEV化するとともにEVタクシーの普及も始まっている
東南アジアではすでにタクシーもEV化しつつある
日本でも街なかで、EVを見かけることは珍しくない。
2010年代から発売されている日産「リーフ」は、世代が進むに連れて性能が着実に向上している。そうしたEV基礎技術の蓄積よって日産では、「アリア」や三菱自動車工業と共同開発した「サクラ」が実現している。また、トヨタとスバルもEV共同開発に着手し「bZ4X」と「ソルテラ」が量産されているところだ。
そうしたなか、タクシーに目を向けると、神奈川県が2010年代半ばに神奈川タクシー協会と連携して「リーフ」の積極的な導入を後押ししたことがある。だが、直近では神奈川県を含めて全国各地でEVタクシーを見かけることはあまり多くない印象だ。
一方、東南アジアではタクシーのEV化が進んでいる国がある。
なかでも目立つのが、インドの東部側に位置するバングラデシュだ。いわゆるリキシャーと呼ばれる、タクシーのようにして使う小型車で、2010年代にEV化が一気に進んだ。
そもそもバングラデシュでは中国製のEVが出まわっていたのだが、リキシャー事業者によれば故障が多く、またメインテナンスなどアフターサービスに対しても満足してできない場合が少なくなかったという。
こうした市場動向を分析した、日本のベンチャー企業であるテラモーターズが、リキシャーのEV化事業を始めた。同社は日本で2010年代のEV創世記からEVバイク事業を立ち上げ、その知見を活かしてベトナムなど東南アジアでのEVバイク普及に向けて現地法人を設立するなどして、事業強化をしていた。
そのうえで、バングラデシュのリキシャー事業者からの要望を細かく聞くという、現地現物主義による商品開発を行った結果、同社製のEVリキシャーが一気に普及した。
そのほか、タイでもトゥクトゥクをEV化する動きがある。タイは2010年代からEVなど次世代車の普及に対する政策を打ってきたが、大きなトレンドにはならなかった。それが2020年代に入り、中国がEVを筆頭とした自動車輸出に積極的な姿勢を示すようになり、タイ向けのEV輸出が一気に増えた。
そうしたなか、EVタクシーの普及も徐々に始まっているようだ。2010年代からBYDのEVタクシーが導入されてきたが、今後は中国EVベンチャーがタイのEVタクシー市場へ積極的にアプローチする可能性もあるだろう。
こうした東南アジアでのEVタクシー拡大の流れが今後、日本市場にも影響を与えるかもしれない。