この記事をまとめると
■デコトラ映画として有名な「トラック野郎」
■しかし他にもいくつかデコトラ映画が存在
■おすすめの作品を5つ挙げて紹介する
「トラック野郎」以外にもあるデコトラ映画
ここ最近は、お正月の娯楽のひとつとして「芸能人格付けチェック!」や「月曜から夜ふかし」などTVバラエティ番組の特番が人気だが、かつては映画館に新春映画を見に行くというのが定番だった。
とくに昭和の時代は、松竹「男はつらいよ」シリーズ(主演:渥美清)や東映「トラック野郎」シリーズ(主演:菅原文太)は、それぞれの映画会社において大ヒットしたドル箱シリーズであり、“トラトラ対決”と呼ばれていたという。どちらも物語中盤でマドンナが現れて、終盤でほぼ振られるというオチは同じだが、より娯楽色が強く、派手なカーアクションや「下ネタ」が取り入れられ、コミカルで若い年齢層にも人気が高かったのが「トラック野郎」シリーズだ。
腕っぷしは強いが惚れた女にはめっぽう弱いという、『一番星』こと星桃次郎(菅原文太)と、子だくさんで元警察官という『ヤモメのジョナサン』こと松下金蔵(愛川欽也)が、各地でマドンナと出会い、そして振られ、ライバルと喧嘩をし、最後は誰かのために警察相手に満艦飾を施したデコトラでカーチェイスを繰り広げるのだ。
予定調和ではあるが、ロッキード事件に端を発する政治家の汚職(第4作オープニング)や医療機関による患者のたらいまわし(第7作終盤)などの同時代の時事ネタが盛り込まれ、登場する「一番星号」と「ヤモメのジョナサン号」も飾りやペイントが毎回新調されるなど、映画館来場者を引き付ける楽しさがあった。
1975年8月30日公開の第1作『ご意見無用』は、急遽ボツになったほかの映画の穴埋めとして、1話限りの予定で作られた。低予算映画だったが、意外や興行収入8億の大ヒットとなりシリーズ化が決定。第2作『爆走一番星』は1975年12月27日に公開され、以降、お盆と正月の東映定番作品となった。惜しくも第10作『故郷特急便』を最後にシリーズは終了したが、いまでも根強いファンがいることはご承知のとおりだ。
じつは世界に目を向けると、トラックが題材として使われる映画は珍しくない。油田の火災を消すために500km離れた場所からニトログリセリンを運ぶ1953年公開のフランス映画「恐怖の報酬」や、赤いプリムスに乗るセールスマンが、ハイウェイで追い越したタンクローリーから執拗な煽り運転を受ける1971年公開のアメリカ映画「激突!」、その他にも同じアメリカ映画だけでも、1976年公開の「爆走トラック‘76」、1977年公開の「トランザム7000」、1978年公開の「コンボイ」、1998年公開の「ブラック・ドッグ」など、枚挙に暇はない。
日本映画としては、この東映「トラック野郎」シリーズのインパクトが強すぎるため、メジャーにはならなかったが、劇場公開されたデコトラ映画が他にもいくつかある。そのなかからとくに人気があると思われる5作品を紹介しよう。いずれの作品も、「一番星号」や「ヤモメのジョナサン号」のような映画会社所有の劇用車ではなく、個人所有のトラックを借りてロケを行ったものである。