この記事をまとめると
■ホイールはクルマの印象を左右するパーツのひとつ
■「デコトラ」も乗用車同様にホイールで足もとをキメることでクルマが引き締まって見える
■デコトラ愛好家たちが好むホイールについて解説する
スチール製のメッキホイールが人気!
自動車をカスタムする際に、まずはアルミホイールを履くことから始めるという人は多いだろう。車高をオトしたりエンジンをイジったりするより、よほど手軽であり、その見た目を大きく変えることができる。そのため、改造車の世界ではホイールを変えることは絶対条件であるとさえいえるだろう。それは、トラックをベースにした「デコトラ」も同じ。やはり足もとをキメることで、クルマが引き締まって見えるのだ。
しかし、普通乗用車ならいざしらず、トラックにもカスタム用のホイールなど存在するのか。そんな疑問を抱く人もいるのではないだろうか。ここでは、デコトラ愛好家たちが好むトラック用のホイールについて触れてみよう。
カスタム用のホイールといえば、やはりアルミ素材のものが挙げられる。スチールよりも軽量ゆえ燃費の向上にも貢献するアルミホイールは、普通乗用車の世界では広く愛されている。もちろん、トラックにもアルミホイールは存在する。
とはいえ、乗用車ほど多種多様のデザインが存在するというわけではない。それでもスタイリッシュなデザインであるために視覚的効果も得られるが、どちらかといえば実用面から装着するというケースも多い。先に書いたとおり、燃費の向上が見込まれるため、ノーマルの運送会社であっても採用するケースは多いのだ。
しかし、アルミホイールは割れやすいというデメリットが存在する。そこで登場するのが、スチール製のメッキホイールである。デザインは純正のスチールホイールと同じであるため、別段オシャレな雰囲気を放つというものではない。しかし、アルミと比較すると輝き方が大きく異なるため、デコトラ愛好家たちに好まれているのだ。
メッキパーツやステンレス素材の飾りを纏うデコトラには、まさに最適なホイールだといえるだろう。ただし、アルミとは違い重く熱を持ちやすいため、実用性に長けた存在であるとはいえない。それでも、見た目を重視するデコトラ野郎たちには崇拝されているのだ。
そのようなアルミホイールやメッキホイールがトラックの世界に定着したのは、昭和の後期に入ってから。それゆえに映画『トラック野郎』で主役を演じた一番星号でさえも、アルミホイールやメッキホイールを履くことはなかった。1970年代では存在しなかったため、当時のデコトラ野郎たちは純正のスチールホイールにステンレス製のホイールキャップを取り付けていたのである。
そんな昭和のスタイルに憧れてトラックを飾っている人たちは、敢えてホイールキャップを選択する人もいる。もちろん熱を持ちやすい性質であるスチールホイールにキャップを取り付けてしまうのだから、放熱効果は悪くなる。そのため、バーストの危険性は高くなってしまうので長距離を駆けるトラックには不向きなスタイルだが、いまだに根強い人気を誇っている。
ひとくちにデコトラといっても、さまざまなスタイルが存在する。現代風に飾る人はアルミホイールやメッキホイール、そして昭和風に飾る人はホイールキャップといった具合に、自身が好む飾りのスタイルに合わせてホイールを選択している。派手なだけではなく、細かな部分にまで個性が体現されているデコトラの世界。機会があれば、その独特の世界観に浸ってみてほしい。きっと、そのディープさに圧倒されてしまうに違いない。