運転がめちゃくちゃ難しそうだけどじつは「けん引免許」不要! 旅客輸送の抱える問題を「連節バス」なら解決できる (2/2ページ)

通常の大型免許で運転できる

 連節バス導入の理由の第一は、なんといっても大量輸送ができることだ。車種・仕様にもよるが、110~190名ほどの定員設定が可能になる。一般的な大型路線バスは定員が80名程度なので、大幅に乗客を増やすことができて経営効率が上がるのだ。とくに近年は、どこのバス会社も深刻な運転手不足に悩まされているため、その解決策としても期待されている。

 メリットはそれだけではない。連節バスというぐらいだから、運転に牽引免許が必要だと誤解されがちだが、じつは通常の大型免許でOKなのだ。

 牽引車両は被牽引車が切り離し可能なので、独立した車両として扱われる。連節バスは前後とも同じナンバープレートが付いており、あくまで1台の車両なのだ。ただ、運動特性はトレーラーに似ている部分が多いため、技術的な問題を考えて運転手に牽引免許を取らせる事業者もある。

 現在、連節バスを製造しているメーカーは内外に多数あり、それぞれ仕様・構造・性能に違いがある。たとえば、横浜市営バスに納入している「日野ブルーリボン ハイブリッド連節バス」の場合、車両総重量は約24.5t、車両寸法は全長17.99m×全高3.26m×全幅2.495mというビッグサイズで、定員は113名だ。しかし、タイヤの切角は内側:43°外側:34.5°なので、最小回転半径9.7m直角旋回専有幅:7.0mと、意外に小まわりが利く。

 運転手ひとりでこれだけの車両を運転・管理するため、安全確認やセキュリティについても万全を期している。車両側方・後方に確認カメラが装備されていることに加えて、後車の車内にも同様にカメラがつけられている。また、乗客からの緊急連絡用に、インターホンも用意されているのだ。

 車両サイズが大きいので運用可能な範囲は限られるものの、2024年問題などといった運輸業界が抱える問題を、解決する一助になることは間違いないだろう。


新着情報