この記事をまとめると
■軽自動車の廉価グレードなどに装着されている「鉄チンホイール」
■いまだに採用されているのはホイールの丈夫さとコスト面での安さが理由となっている
■ただホイール自体の重さやデザイン面での問題はある
擦ってもキャップ交換でキレイになるというメリットも
クルマに装着されるホイールの素材には大きく分けてふたつある。スチールとアルミで、そのほかにマグネシウムやカーボンなどもあるが市販車としてはかなり特殊だ。スチールはその名のとおり、鉄製で、鉄チンと呼ばれて、その昔は広く採用されていて、1970年代から1980年代になるとアフターマーケットでのアルミホイールが一気に普及。それに合わせる形でアルミホイールの純正装着も増えていった。
当初はアルミホイールというとかなりの高級装備で、スポーツカーもしくは上級グレードのみの設定で、それ以外は鉄チンにホイールキャップという組み合わせが普通だった。それが最近は、中間グレード以上がアルミホイールで、鉄チンは廉価グレードのみといった例が当たり前になっている。しかも純正アルミホイールといえばかつてはデザインが今ひとつだったのが、現在はアフターマーケットの物と遜色のないデザイン性を兼ね備えているのも注目だ。
そのようななか、なぜまだ鉄チンホイールが残っているのか。素人考えではここまでアルミホイールが普及すると、すべてのグレードに採用したほうが量産効果もあってコストも安くなるように思えてしまうのだが、現状ではまだ鉄チンとキャップの組み合わせのほうが安いというのがある。
そのほかの採用理由としては、丈夫だからというのも大きい。丈夫ということは万が一の安全性にもかかわることで、よくやりがちな路肩に擦る、いわゆるガリキズに対しても強い。また万が一できたとしても、キャップ部分だけで交換すれば、元に戻るのはメリットのひとつだ。もちろん丈夫だと長持ちもする。
デメリットはその裏返しで、まず大きな問題は重いことが挙げられる。鉄とアルミの差は比べようがないほどだが、ただホイールにすると強度を出すために、アルミホイールもある程度厚く作らないといけないので、イメージするほどの重量差はないのもまた事実だ。
そしてクルマ好きにはなおさら大きな欠点となるのがデザインの問題で、ホイールキャップという限られた中でデザインをするしかないので、どうしても見た目については期待できないというのが現実だ。アルミホイールのように、キャップに頼らずすべて鉄で作ることも可能ではあるが、加工が大変なので製造が難しく、重量もかさんでしまうので、わざわざ作る意味はないといっていい。