この記事をまとめると
■ホイールの縁に多数のボルトが付いているホイールは「ビードロックホイール」と呼ばれる
■見た目の演出ではなく機能面で意味のあるものとなっている
■カスタムの手法として用いられるもののなかにはビードロックホイール風のものもある
オフロード走行時はタイヤの空気圧を落として走ることがある
東京オートサロンの日産ブースでひと際存在感を放っていたのが、魔改造されたエクストレイル。これは傾斜がきつく険しい地形をクルマで走破する「ロッククローリング」を楽しむために改造されたというコンセプトで作られたカスタマイズモデルだ。
そんなエクストレイルの足もとには、大径のオフロードタイヤとワイルドな意匠のホイールが装着されていたのだが、このホイールはビードロックホイールといわれる機構を持った特別なものとなっている。
このビードロックホイールとは、その名の通りビードをロック(固定)するホイールというもの。通常タイヤとホイールはタイヤの内径部分に埋め込まれているビードワイヤーをホイールのリムに内圧によって押し付けることで結合されているが、ビードロックホイールは、ビードをホイールのフランジとリングで挟み込んでボルトで締めることで結合するものだ。
なぜそんなことをするのかというと、ロッククローリングなどの悪路を走行する際、あえてタイヤのエア圧を下げてタイヤをたわませることでグリップを発生させて走破するという手法が採られるからであり、このとき、一般的なホイールのようにエア圧が下がってビードを押さえつける力が弱まり、ビードが外れてしまうことを防ぐためである。
もちろんタイヤを組み込むときはリム部分に見えるボルトをすべて規定トルクで締め付ける必要があるため、一般的なタイヤ交換よりも手間がかかるし、ホイール自体もリングやボルトなどが別途備わるために非常に重くなるというデメリットもある。
また、そもそもオフロード走行をしないユーザーにとって、ビードロックホイールはまったく無用の長物であり、重量がかさみ価格も高いといった面だけでなく、高速走行に向かない点やビードロックボルトの定期的な点検・増し締めなど、大幅に手間もかかってしまう。
そのため、クロスオーバーSUV用にリリースされているオフ系のホイールなどは、ホイールリム周辺に飾りボルトを配したビードロック“風”のデザインを持ったものが多く存在しているというワケなのだ。