この記事をまとめると
■首都高の環状線を一周して最初に乗った入口の隣の出口で出ると通行料金が一区間分で済む場合がある
■首都高には「同一発着・同一料金の原則」が採用されているため違法とはならない
■2度同じインターを通過すると別料金が課されるなど注意点もあるが悪用はご法度だ
「同一発着・同一料金の原則」が適用される首都高
その昔、まだETCなんてものはなく、首都高に回数券があった時代、深夜仕事を終えて帰るとき、会社から支給される回数券で首都高に乗ってC1(都心環状線)をグルグル数周まわってから帰宅することがよくあった。
あの頃の首都高は同一料金だったので、気にしたことはなかったが、ご存じのとおり、現在の首都高は2016年4月から対距離料金制度へ移行。環状線を使って長い距離を走ったら、本来その分課金されることになる(激変緩和のために上限料金「普通車1320円」)を設定している)。
しかし、実際は環状線を一周して、最初に乗った入口の最寄り出口で下りると、その最短距離、一区間分の料金しか請求されない……。これって問題ではないのだろうか?
結論からすると、一応、合法なので問題ない。これは「同一発着・同一料金の原則」が採用されているため。
「同一発着・同一料金の原則」とは、出発地と到着地が同じである場合、どのルート(経路)を利用しても交通機関の料金が同じであるという原則(同種の交通手段・機関を利用する場合)のこと。
首都高では、2018年6月に外環千葉区間が開通したことを踏まえ、外環利用が不利にならないよう、経路によらず、起終点間の最短距離を基本に料金を決定。2022年4月から、都心の渋滞等に対し、首都圏の交通流動の最適化を目指し、圏央道や外環をより賢く使う料金体系を導入しているからだ。
また、鉄道でもJRの東京付近特定区間では、特例として「同一発着・同一料金」の制度を取り入れているし、航空券でも発着地だけを決めておいて、途中の海外都市に寄り道できるようなチケットを販売している例もある。
ただ、「同一発着・同一料金の原則」でも、同じインター(駅)を2回通過するのは原則NG。鉄道の場合、折り返し禁止というルールもある。
現実的には、首都高の場合、環状線1周+1区間でも、ETCカードから引き落とされるのは一区間分の料金になるはずだが、本来の趣旨とは逸脱しているので、悪用はしないよう気をつけて欲しい。