歩行者が絶対優位とは限らない
違反した車両を訴えることはできるのか?
歩行者として道路を歩いているときに受けた被害を訴えるためには、証拠が必要です。
違反している現場を白バイ隊員やパトカーに乗車している警察官が目視で確認していれば、被害を立証することができます。しかし、客観的な証拠がない場合、立証するのが難しくなるため、訴えるのも難しいでしょう。
クルマを運転するときは「歩行者の保護」をしなければならない
クルマやバイクなどを運転するときは、歩行者を保護しなければなりません。道路交通法や国家公安委員会が作成している「交通の方法に関する教則」にも、「歩行者の保護など」という項目があり、車両の運転者は歩行者の横断を妨げたり、泥はね・水はねしないよう気をつけなければならないことが明記されています。
このようなことからも、クルマやバイクなどを運転するときは、歩行者の通行を妨げたり、迷惑になることをしてはならないのです。
道路では歩行者が優位なのか?
ここまで、歩行者と車両のトラブルや車両側の違反について述べてきました。ここまでの内容だけを見ると、道路では歩行者が優先かつ優位な立場にあるように感じるでしょう。しかし、歩行者にも道路を通行する際に守らなければならないルールがあるため、絶対的に優位というわけではありません。
歩行者のルールには、次のようなものがあります。
・歩道または歩行者等の通行に十分な幅員を有する路側帯と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄って通行しなければならない(道路交通法第10条第1項)
・歩道等と車道の区別のある道路では、原則として歩道等を通行しなければならない(道路交通法第10条第2項)
・道路を横断しようとするときは、近くにある横断歩道で道路を横断しなければならない(道路交通法第12条第1項)
・道路標識等によって斜め横断できる場合を除き、道路を斜めに横断してはならない(道路交通法第12条第2項)
・車両等の直前または直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によって道路を横断する場合や信号もしくは警察官等の手信号等に従って道路を横断する場合を除く(道路交通法第13条第1項)
・道路標識等によって横断が禁止されている部分で横断してはならない(道路交通法第13条第2項)
道路交通法には、歩行者等の通行方法についても定められています。このことからも、道路では歩行者が必ずしも優先で優位な立場にあると断言することはできません。
歩行者も車両もルールを守って道路を利用するからこそ、安全な交通社会が実現できるのです。道路を利用する際は、それぞれのルールをきちんと守りましょう。