2023年を振り返ると自動車業界にとって悪夢のような出来事が相次いだ! 日本におけるEVの遅れも気になるポイント (2/2ページ)

悪夢のような出来事も

 秋には改名して初となる「ジャパンモビリティショー(JMS)」が開催された。2年前にはコロナ禍で中止をよぎなくされ、その前はオリンピックの準備のため規模を縮小して開催されたこともあり、来場者は目標とされていた100万人を大幅に超え、評判も概ねよかったように感じている。

 相変わらず輸入車ブランドの出展が少ないのは残念ではあるが、国内メーカー各社は、往年の華やかだったころの東京モーターショーを思わせるような、ワクワクさせる内容が多く見られたように思う。

 印象的な不祥事も多々あった。夏頃からはビッグモーターと損保ジャパンらによる保険金不正請求問題が大々的に報じられた。この問題では、保険料や自賠責などで間接的に我々も影響を受けていることになる。全容の解明と再発の防止は必須である。

 さらには、ダイハツの認証に関する不正も、年末から年明けにかけて大きな展開を迎えたのはご存じのとおりだ。

 4月に海外向け4車種の側面衝突試験の認証について発表があったときには、ここまで根が深いとは誰も思っていなかっただろうが、翌5月には国内向けモデルやOEM車でも不正があったことが明らかになった。

 事態を重く見たダイハツの依頼を受けて第三者委員会が調査したところ、じつに1989年から174件もの不正行為があったことが年末に発表された。これによりダイハツは全車種出荷停止という前代未聞の事態となってしまった。

 さらに年が明けて、インドネシアで生産される商用車3車種の型式指定が取り消されるという非常に厳しい判断が、国土交通省より下された。

 そこで問題になるのは、該当する車種が安全かどうかだ。ダイハツ車ユーザーにとっては気になって仕方がないに違いない。それについては、型式が取り消された車種に関しての今後の発表を待ちたいが、そのほかはダイハツの奥平社長が述べているとおり、問題ないと思ってよいのではないかと思う。

 整理すると、ダイハツが不正を行なった内容が、安全でないものを安全であるかのように装ったわけではない。認証における”安全性の証明の仕方が正しくなかった”ということだ。むしろ確実に試験を1発で合格できるよう、マージンを大きく確保したと思われるケースが多いように見える。

 実際、社外の認証機関による検査や評価でも、ダイハツ車の安全性に関する成績は概ね優秀であることを念のためお伝えしておこう。

 もちろん不正は言語道断であることはいうまでもないが、ここで思うのは、認証制度そのものに問題があるのではないかということだ。不正を行なって認証を受けた車両が安全性の評価が非常に高いという現実をどう受け止めるべきか。たびたび同様に不正の報じられる車検制度とともに、とっくに見直すべき時期が来ているように思えてならない。


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