自衛隊の高機動車は乗用SUVと大差ない
■大型トラックの参考価格
今も昔も流通の根幹にあるのが、大型トラックによる長距離の運搬です。その多くは、渋滞が少なく高速道路の料金の安い深夜の時間帯に走っているのを見かけます。
あの大型トラックの価格はいったいどれくらいなのか、気になったことがある人も少なくないでしょう。
ちなみに大型トラックというのは、全長12m以下・全幅2.5m以下・全高3.8m以下のサイズで、最大積載量が6.5t以上・車両総重量11t以上(25t以内)のトラックのことです。
車体と荷台の関係で、トラックとトラクター(トレーラーヘッド)の2種に分かれますが、ここでは箱を積んだトラックタイプで話を進めます。
トラックタイプに限定しても、各メーカーの装備や仕様で価格はかなりの開きがあります。搭載エンジンは1万ccから1万5000ccくらいまであり、ターボを組み合わせたものもあります。パワーバンドが1000〜2000rpmの間の短い領域しかないため、ミッションはどんどん多段化が進んで、今や16段変速も当たり前になっています。サスペンションはエアサス車が上位として位置付けられているようです。
シャシーは主に3軸と言われる6輪構成が基本で、小径タイヤで低床化を図った4軸タイプも割合を伸ばしているようです。
キャビンもバリエーションがいろいろあって、いちばん広いのは前後に長いフルキャビンの2階建てハイルーフになります。ベッドはもはやカプセルホテルよりも広いのではないかという状態です。
荷室は、もっとも簡素な平ボディから、箱形のバンボディ、そしてバンボディの側面がガルウイングのように開くウイング車などの種類があります。
価格についてですが、バリエーションがかなり多いので値段に開きがありますが、だいたい1600万〜2500万円くらいで販売されているようです。
ちなみにそこそこ見かけるベンツ(ダイムラー)やボルボのトラック、乗用車の感覚では国産車より高いというイメージがありますが、実際のところは国産とほぼ同じか、少し高いくらいのようです。
子どもの頃にサービスエリアで休憩していた長距離トラックの運転手に「このでっかいトラック、すごく高いんでしょう?」と訊ねたことを思い出しました。その返答は「ポルシェやフェラーリが買えちゃうくらいだよ(笑)」と返ってきました。あながち冗談ではなかったんですね。
■自衛隊の高機動車の参考価格
高速道路で移動しているときに、ふと違和感を覚えてそちらを確認してみると、ツヤ消しのオリーブカラーに塗られた「ハマー」のような車両が走っていて、車内の自衛隊員と目が合ってしまうという経験をしたことがある人もけっこう多いのではないでしょうか。
あの車両がどこのメーカーのもので、いくらくらいのものなのか、その場では気になるのですが、いつの間にか忘れてしまいます。
こちらはすこし毛色が違って、お仕事ぐるまとは言えないかもしれませんが、気になっていた車両なので調べてみました。
高速で見かける自衛隊の車両は、他にもいろいろありますが、ここでは人員搬送用の車両について話していきます。
正式な名称は高機動車をヨコ文字にした「HMV(ハイモビリティビークル)」とのことで、別に「疾風(はやて)」という呼び名もあるとか。
製造しているメーカーは「日野自動車」です。開発は「トヨタ」がおこなったそうです。そこでピンと来た人もいるでしょう。一瞬だけ販売されて話題になった「メガクルーザー」は、この車両の一般市販バージョンです。
乗員数は10名で、搭載されるエンジンは4.1リッターのディーゼルターボで、トヨタ版と日野版があるようです。センターデフロック機構付きのフルタイム4WDで、ミッションは4速AT。小まわりが利く4輪躁舵機構を備えています。
価格は770万円也(※一般販売はしていません)。おそらくエンジン、シャシー、足まわりなどの主要機構にコストの大半が割かれているとは思いますが、さすがに特殊な用途の車両だけあって、装備のわりに高価だという印象です。
ちなみに市販版の「メガクルーザー」は960万〜980万円となり、200万円ほど上乗せされています。
いろんな種類があるお仕事ぐるまの中から、いま気になっている4つを紹介してみましたが、いかがでしょうか? 意外と高いと感じたり、逆に安いと感じたり、それぞれあったことと思います。もしかしたら「これ、買えるな……」と、食指が動いてしまった人もいるかも知れませんね。
機会があれば、今回紹介できなかった別のクルマも調べて紹介してみたいと思います。