クルマの重量配分「50:50」って何がスゴイ? しかもただ「秤に乗せて50:50」なだけじゃ意味がなかった! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■昔から50:50の比率による前後重量配分がよしとされてきた

■ミッドシップにしたからといって完全に50:50になるとは限らない

■重要なのは静止状態ではなく走行中の「ダイナミック」領域での荷重バランスだ

スポーツカーはなぜ50:50にこだわるのか

 クルマの重量配分は前後と左右で考える必要がある。古くからBMW車は前後重量配分を、設計上50:50として定め、良好なハンドリング、運動性能には不可欠だとしている。国産車でも前後重量配分が50:50であることをアピールするクルマは多い。古くはマツダRX-7(ロータリーエンジン搭載のFC3S)、近年のマツダ・ロードスターなども前後重量配分50:50にこだわっている。

 また、スバル車は「シンメトリーレイアウト」であることを標榜し、左右重量配分が50:50であることを善としている。

 実際、こうしたクルマ達のハンドリング性能は優れていて、高い運動性能を可能としている。

 前後・左右重量配分を測定するには4輪の下に荷重計(はかり)を設置し、それぞれの車輪にどれくらいの荷重がかかっているかを測定する。たとえば車重1000kgのクルマで4輪均等に1輪あたり250kgの荷重がかかっているとすれば前後左右50:50の理想的な重量配分になっているといえる。

 これは輪(りん)荷重と呼ばれ、独BMWのレーシングチームであった「シュニッツアー」は、世界中のサーキットを転戦するにあたりサーキットのパドックに到着したら最初に正確に水平地面を構築し、輪荷重計を設置してレースマシンの輪荷重を合わせることから始めていた。いまでは多くのレースチームが同様なことをしているが、シュニッツアーチームの徹底した重量管理に当時は感心させられたものだ。

 では、なぜそれほど重量配分を重要視するのか。それはハイスピードで走るクルマのハンドリングを論じる場合において、重量配分が極めて重要であると認識されているからだ。

 モータースポーツ創成期においては、フロントエンジン・リヤ駆動のFRレイアウトが多かった。シングルシーターのレース専用マシンにおいても同様で、フロントに大きな12気筒エンジンを搭載し、ドライバーがその後ろに着座、背中に大きな燃料タンクを背負い後輪を駆動する。それだけにハンドリングは安定せず、ドライバーの運転能力が大きく問われた。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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趣味
海外巡り
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クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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