溝以外の要素でもチェックしよう
■溝の深さ以外の確認方法
スタッドレスタイヤが性能を発揮するポイントは、先述の「サイプ」という溝のほかに、ゴムの柔軟性や吸水性などいくつかの要素が合わさって成り立っています。
そのなかでも柔らかさは重要度が上位のポイントになりますので、柔らかさが保たれているかはチェックしておきたいところです。
とは言っても、しょっちゅうタイヤを扱っている専門店のスタッフならまだしも、年に数度の使用頻度しか無い一般のユーザーにとって、柔らかさの基準が判断できる人は少ないでしょう。
タイヤの劣化具合をチェックする方法としては、まず目視でひび割れが無いかどうかを見ることです。
タイヤは高速で走行したりハードにブレーキングすれば熱を持ちますし、逆に零下まで冷やされたりもします。そして日光に当たっていれば紫外線にさらされますので、それも劣化の要因になります。
その劣化はタイヤの表面から始まって、徐々に深い層に進んでいきます。劣化の症状がすすんでいくと、まず表面が硬化します。
硬化した状態でタイヤがたわむと、弾力が失われた表面がひび割れてきます。このひび割れが現れてきたら交換を検討したほうがいいでしょう。
仮に接地面のブロックを曲げてみてまだ柔らかいなと感じても、表面の硬化が始まっていたら、そこからひび割れが深くなり、最終的にはブロックが千切れてしまうケースも考えられますので、安全のことを考えたら交換がマストです。
同じ劣化の判断ポイントで、表面のツヤを見るという方法もあります。
劣化していない状態ではゴムの組成が整っているので黒くツヤがある状態ですが、紫外線や熱で劣化すると、表面がカサカサの状態になって、色が白茶けてツヤが無い状態になります。
また、ゴムの柔らかさが重要だと言いましたが、実際にその弾力具合を確認するのは難しいと思います。
ですので、それを判断するためには、製造年を確認するのがもっとも確かな目安と言っていいでしょう。
製造年は、タイヤのサイドウォールに必ず記してあります。ホイールに近い内側の方に記された、薄いだ円の線で囲まれた部分の4桁の数字がそれです。
この数字は頭の2桁が製造週で、後の2桁が製造年を表しています。 例えば「1823」の表記があった場合は、2023年の18週目の製造というわけです。18週目なので、製造月は4月となります。
使用年数の目安ですが、これは使用状況や保管状態によって異なりますが、おおむね3〜5年というのが通説です。3年目を迎えたら、タイヤの状態のチェックをこまめにおこない、交換を視野に入れるようにするといいでしょう。
■使用中もタイヤの空気圧をこまめにチェックして寿命を保ちましょう
スタッドレスタイヤは夏用タイヤと比べて柔らかいため、空気圧が低い状態で使用すると、より偏摩耗が進んでしまいます。
偏摩耗が進んでしまうと、そのあとで空気圧を正常に戻しても、接地面の状態に偏りが出てしまうため、本来の性能が発揮出来なくなってしまいます。
具体的には、出掛ける前に確認するのがもっとも良いのですが、少なくともひと月に1度は空気圧の確認をしておけば、深刻な編摩耗は防げるでしょう。
また、夏用タイヤの感覚でドライ路面でハードなブレーキングをしたり、コーナーを攻めるような走りをするのも避けたほうがいいでしょう。単純にグリップ性能が夏用タイヤより劣るので限界が低いですし、必要以上の熱が入り、摩耗も進みますので良いことはありません。
交換時期の見極めも重要です。面倒だからとドライ路面で使っていると減りを早めてしまいます。
また、ローテーションなども上手く使って、できるだけ効率の良い運用をしていきましょう。