ベテランジャーナリストに聞く! これまで乗ったなかで「怪物」と呼ぶにふさわしいクルマって何ですか? (2/2ページ)

競技車両のなかでもとりわけ印象に残っている2台

 次に競技車では、アメリカのUSACスプリントカーだ。USACは古くからアメリカのオーバルレースを主催しており、インディ500へのステップアップボードとして、ミジェットカー、シルバークラウン、そしてスプリントカーというカテゴリーが1970年代から2000年代頃まで定着していた。

 最上位のスプリントカーは、外観はまるで農業用トラクター。フロントに最高出力700馬力オーバーのアメリカンV8を搭載するFR車。ステアリングもトラクターやトラックのように前方向に傾いている設計だ。アクセルは上から下に踏み降ろすタイプ。ブレーキは静止するというより、リヤスライドのためのきっかけづくりのため、といった感じだ。

 1990年代にインディアナ州やオハイオ州などで何度かテストライドをしたが、独特な走り方に慣れるのが大変だった。右リヤタイヤが左リヤタイヤに比べて極端に大きさが違う、極端な「スタッガー」の設定で、直線でも常にドリフトしているイメージ。フロントヘビーな重量バランスでアクセル全開でショートダートオーバルを、路面の変化に応じてアウト・アウト・アウトのラインや、イン・イン・インのラインを使い分ける。

 燃料がメタノールなので、夜間走行だとマフラーからの青白いバックファイアーが目立つというシロモノだ。

 もうひとつの競技車が、モンスタートラックだ。競技というよりはエンタメのテイストが強いが、実際に乗ってみるとその大きさとジャンプして着地した際の景色の変化がじつに刺激的だ。

 個人所有で皆さん丁寧にメンテナンスしているが、いざイベントに登場すると大ジャンプで横転してサスが大きく壊れることも珍しくない。いかにもアメリカンな怪物である。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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愛車
トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
趣味
動物たちとのふれあい
好きな有名人
聖徳太子(多くの人の声を同時にしっかり聞くという伝説があるので)

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