ATはMTよりもおおよそ10万円くらい高い
その一方で価格の異なる車種も多い。ロードスター1.5Sスペシャルパッケージでは、ATがMTに比べて11万5500円高い。両タイプでは装備も異なり、ATにはアイドリングストップやアイ・イー・ループなどの環境技術が採用され、燃費数値も少し優れる。
その代わり、MTにはリヤスタビライザー、ボディを補強するトンネルブレースバーなどが装着されるから、ATの価格がMTに比べて11万円以上高まると割高になってしまう。ロードスターではMTの販売比率が高いから、量産効果を利かせやすく、価格訴求力を強める目的もあってMTを割安にした。
GR86 RZでもATの価格はMTに比べて9万8000円高い。ATは価格が高い代わりに、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールがATの機能を生かした全車速追従型に変更される。後退時ブレーキアシストなども加わる。それでも約10万円の価格差は大きくMTが割安だ。
ジムニーXCは衝突被害軽減ブレーキは装着されるが、運転支機能は採用していない。ATとMTの装備はほぼ同じだが、4速ATの価格は5速MTよりも9万9000円高い。ジムニーは前述のスポーツカーと違ってATの販売比率が高く、量産効果を考えるとMTとの価格差はなくなりそうだ。それでもMTを安くした背景には、ジムニーは昔はMTのみで、ATは価格を高めて進化してきた事情がある。ATが高価になる伝統的な価格のヒエラルキーをいまでも踏襲している。
以上のようにATとMTの価格差を見ると、同価格で設定する車種がある一方、いままでの価格推移、装備の違い、生産台数などに基づき、ATの価格をMTよりも高く設定する車種が目立つ。
それなら逆にMTの価格がATよりも高い車種はないのか。じつはこのパターンもあり、コペンではMTがATを2〜3万円上まわる。
しかも安価なATには、MTに装着されないアイドリングストップが備わり、マルチインフォメーションディスプレイの機能も充実する。ATが一層割安になるわけだ。いまのダイハツの前輪駆動車では、MTは少数派になり、コストと価格が高まってしまったのだ。