トヨタから超豪華な2大ショーファーレクサスLMと新型センチュリーが出そろった! 庶民には夢だがもしも買うならドッチがいい? (2/2ページ)

皇室御用達の特別感を持つセンチュリーと実用性が高そうなLM

 両車の大きな違いは、VIPを招き入れるリヤドアだ。センチュリーはオーソドックスなヒンジ式ドア。LMはボックス型ミニバンならではのパワースライドドアとなり、全高、室内高の高さもあって、乗降性ではLMがリードする。この点は、車幅が広い両車だけに、日本の駐車スペースにおいてスライドドアが威力を発揮してくれることは間違いないところ。より優雅に乗り降りできるはずである。

 室内の高級感、素材の吟味、贅沢さは両車ともに負けず劣らずだ。皇室御用達でもあるセンチュリーはトヨタの最高品質が与えられているし、LMはレクサスブランドに恥じないレクサスクォリティが保証されている。

 が、乗降性とともにLMが有利な点は、SUVとミニバンの違いそのものが当てはまる。そう、後席居住空間、室内高の余裕である。室内高はセンチュリーの1245mmに対して、LMはボックス型ミニバンならではの1365mm。つまり、LMは天井に物入や各種操作パネルなどを装備しつつ、センチュリーより110mm高い天井の持ち主となる。

 そして決定的なのはリヤエンターテイメントシステムの画面サイズ。センチュリーの11.6インチとLMの42インチの差は絶大だ。センチュリーはあくまでクルマとしての超高級車であり、しかしLMは走る超高級リビング、オフィスを兼ねられる装備満載、前後席をパーテーションで区切ることができるプライベート空間として使えるところが大きな特徴だ。

 ただし、あくまで庶民のいち意見だが、皇室御用達でもあるセンチュリーの特別感もまた、捨てがたい魅力ではないだろうか。実用性を含めた超高級車としての使い勝手で選べばLM優位ながら、ひと目でアルファードとの違いがわかる一般庶民はそうはいないはず。

 しかし、センチュリーはまったく別次元の崇高な芸術品的価値を持つクルマであり、同じ高級車でも、メルセデス・ベンツ(マイバッハを除く)やBMWのトップレンジではなく、ロールスロイスやベントレーのSUVに近い存在と言っていい(新型センチュリーのエンジンはV12ではなくV6×PHEVだが)。

 買える財力があれば似合う、相応しい……というわけでもないと思えるのである。また、月産50台という希少価値があるのもセンチュリーである(2023年12月に発売が開始される国内向けLMは約600台といわれている)。

 個人的には価格(500万円安い)、車幅、そして48インチワイドディスプレイの装備から、LMを選びたくなる。後席に招き入れた家族や友人をびっくりさせられそうだし(購入者が運転前提の発想が庶民的!?)……。

 とはいえ、両車ともにショーファーカーとして、ショーファーがいて、後席に乗る人が買うべきクルマ(とくにセンチュリー)であることを、忘れてはいけない……。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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