切り札を切り札として使えるように事前準備は大事
友人がセールススタッフという流れで紹介してもらうのもあまり有効ではない。紹介者とセールスマンが友人関係ということは、当該本人(購入者)とセールススタッフは「友だちの友だち」的な関係となり、関係性が薄すぎるとして値引きアップにはあまり効果が期待できないことが多い。購入当事者とセールススタッフが友人関係となると、「友だちだからこそ、値引きをあまりしないで買ってもらうように協力してもらえ」と指示する上司もいると聞く。
「自分が今回新車を買ったセールススタッフを紹介する」とご近所さんや、ママ友ネットワークなどを活用した紹介でも、見た目は買い得そうに見えるが、実際はたいして値引きが増えていない条件でまとめられることが多い。これが、数十年乗り換えを繰り返しているセールススタッフを紹介してもらうとなると状況は変わる。1度や2度ぐらい新車を購入してもらった間柄のお客に比べると、完全にセールススタッフと紹介者の間で人間関係重視の間柄ができあがっているので、上司の判断も「お得意様からの紹介」となり変わってくるからだ。
最初からセールススタッフを紹介してもらうとその効果は薄いが、あらかじめ自分だけで商談を進め、ある程度購入条件を引き出し、それを参考に希望購入予算を絞り込んでから「じつは……」とセールススタッフを紹介してもらうとその効果はかなりアップする。
「すでに自分で動いてみたのですが……」と、商談で引き出した購入条件を提示すれば、紹介されたセールススタッフは「あとどれぐらいになればいいですか?」と、客観的な条件をベースに商談が進むので、ベースの購入条件へ「いくら上乗せ」するかを交渉することになるからだ。こうなると、セールススタッフとしては、「紹介してもらったのだからぜひ買ってもらわねば」ということで、やや追い込まれたなかで商談を進めることになるので、希望予算をクリアして新車を買うことができる可能性が高い。最後の切り札が、セールススタッフの紹介となるのである。
それまで商談していたセールススタッフについては申し訳ないところもあるが、「知り合いから別のセールススタッフを紹介された」と断ればまず揉めることはないだろう。
いまの時代、対面販売は面倒なことは多いが、その対面販売をフル活用するような「紹介購入」は、使い方次第でまだまだ希望予算クリアのための有効なツールとなっているのである。