この記事をまとめると
■かつては人気だったのにモデルチェンジによりいつの間にか日本での売れ行きを大きく落としているモデルがある
■大きく売れ行きを落とした理由のほとんどは海外指向を強めたことにある
■トヨタ、日産、ホンダの3メーカーから最盛期から大幅に売り上げを落としているモデルとその理由を解説
グローバルでの販売を追求した結果日本向きではなくなった
初代モデルの発売から20年以上を経過した車種を見ると、売れ行きを下げて支持を失ったクルマが少なくない。
その原因は、ほとんどの場合、海外指向を強めたことが災いした。以前は日本のユーザーを見据えて開発していたのに、フルモデルチェンジを繰り返すと次第に海外指向を強め、車両のコンセプト、その表現手段となる内外装のデザイン、ボディサイズなどが日本のユーザーから離れていった。そのような残念なクルマを紹介したい。
■トヨタ
●RAV4
1994年に発売された初代RAV4は、3ドアボディのコンパクトSUVだった。全長が3695mmと短い5ナンバー車で、直列4気筒2リッターエンジンを搭載する。価格は上級グレードでも、4WDを搭載しながら189万8000円で、当時はクルマ好きの若年層が多かったから一躍人気車になった。1995年には5ドアボディも加わった。
ところがその後は、北米を始めとする海外指向を強め、フルモデルチェンジのたびにボディを拡大させた。2005年に登場した3代目では全幅が1800mmを上まわり、登録台数も下がった。その結果、4代目は国内に投入されず、SUVブームに乗って5代目で復活したが初代モデルほど注目されていない。
●レクサスLS(旧:トヨタ・セルシオ)
2005年にレクサスが国内で開業するまで、海外のレクサスLSは、日本ではトヨタブランドでセルシオとして売られていた。高価格車でも販売は好調で、3代目は2001年に1カ月平均約2700台を登録している。
それが2005年以降は日本でもレクサスLSに切り替わった。2023年1〜11月の1カ月平均登録台数は約190台だから、約20年前の7%に留まる。現行LSは全長が5235mm、全幅は1900mmと大柄で、販売店からは「ここまで大柄では、駐車場に入らないお客さまも多い」という話が聞かれる。価格も全車が1000万円以上で購入しにくい。
ちなみに2001年当時のトヨタも、海外販売比率を高めていたが、それでも65%前後であった。いまの83%に比べると少ない。セルシオ/レクサスLSは、クルマ作りが海外指向を強めて日本での売れ行きを下げた典型だ。
国内販売店舗数も、レクサスは約170カ所で当時のトヨタ店+トヨペット店の約2000箇所に比べると約9%に留まる。悪条件が重なってレクサスLSは販売を低迷させた。