この記事をまとめると
■中古車サイトなどには「日本に1台のみ!」のような激レア車が売られていることがある
■レア車ゆえに面倒を見てくれるショップやパーツに困る可能性が高い
■希少車種であれば人と被ることもないが苦労を分かち合えることもない
激レア並行車に潜む罠とは
「世界に○○台。日本に1台のみの激レア車です!」
何気なく中古車検索サイトやネットオークションなどをウォッチしていると、ときどき目にする冒頭のキーワード。「世界に○○台」「日本に1台のみ」「激レア車」とくれば、クルマ好きであれば気にならないわけがありません。
見るだけならまだしも、この手のクルマに手を出してしまうとどのような未来が待ち構えているのでしょうか!?
いわゆる「激レアな並行モノの輸入車」なわけですから、沼なんてもんじゃありません。未来のことは推して知るべし……です。
1.そもそも正規輸入車と並行車は似て非なるもの
見た目は正規輸入車とそっくり(というか同じ)だとしても、「並行モノ」というだけでそれはまったく別のクルマです。
正規輸入車の場合、現地から船便で輸送され、日本国内のPDI(いわゆる新車整備センター)で各部のチェックを受け、日本語版の取扱説明書や関連書類がセットされます。さらに正規ディーラーで納車前点検を行い、正規輸入車の証であるステッカーがリヤの窓ガラス等に貼られ、ピカピカの状態で納車日を迎えます。
納車後は新車保証が適用されますし、任意保険も型式ベースで算出されます。いずれも「素性のしっかりしたクルマ(正規輸入車)」だからこそなせることです。
方や「並行モノ」の場合、現地から独自に輸入することになります。当然、新車保障はありません(販売店が独自に設定した保障をつけてくれることもありますが)。基本的に現状販売です。日本に来るまで現地でどのように扱われていたのか、多くの場合、想像に任せるしかありません。タイヤの摩耗の度合いでラフに扱われていたことが見抜けますが、これもどこかのタイミングで新品に交換されたら証拠隠滅です。
2.そもそも使い方がわからなければトラブル時の情報もない
エンジンはなんとか始動できるとして、ウィンカーの場所は? スモールライトとヘッドライトの点灯方法は? 古いクルマであればシンプルなぶん、もしかしたら何となく「当てずっぽう」で動かせるかもしれません。これがコンピューター制御メインの最近のクルマともなれば、物理ボタンは最小限で大半の操作は液晶パネルのなかで行うモデルもあります。表示される単語が英語であればなんとかなるとしても、他言語だとエアコンの操作方法が分からない! なんてことも。
なにしろ「激レアな並行モノの輸入車」ですから、そもそも言語切り替えに日本語の選択肢がありませんし、日本語版の取扱説明書なんてもちろんありません。ラジオにいたってはそもそも国内の放送局と周波数が合いませんし……。
さらに、トラブルシューティングに関する情報を共有できないことも考えられます。海外を含めてインターネットを駆使すれば解決できる可能性もありますが、これが年中繰り返されるわけで……。そんなこんなで、問題解決能力は確実に向上しそうです。
3.探している部品がすぐ手に入らない
故障した部品を交換したい、今後に備えて部品をストックしておきたい……。といっても、そもそも日本国内に部品がないことも予想されます。そうなると海外に活路を見出すことになります。
eBayや現地のネットショップで見つけられる確率はゼロではありません。しかし、仮に見つかったとしてもありとあらゆることが「博打」です。まず部品を見つけられるか、部品を見つけたとしても日本に送ってもらえるのか? 無事に手元に届いたとして、果たして使えるのかどうか。部品が届いた時点でラッキー、きちんと使えた時点で超ラッキーくらいの心の余裕がほしいものです。