この記事をまとめると
■車酔いは、視覚の情報や三半規管の平衡感覚などの情報とズレると起こる
■ロッテと大学が成人男女47人を対象としミントガムを使った実験を実施
■ミントガムを噛むと車酔い防止に効果があるという結果が出た
車酔い対策にはミントガムがオススメ!?
年末年始やゴールデンウィーク、お盆などは、帰省ラッシュのため毎年数十kmの渋滞が発生するのが風物詩になっています。
避けられるなら避けたいとみんなが考えていると思いますが、休暇などのタイミングもあって、その時期に高速に乗って移動するしかないんですよね。「早く自動運転が普及してくれたらなぁ」と思ってハンドルを握っている人も少なくないでしょう。
たしかに自動運転に渋滞の運転を任せることでドライバーの負担はだいぶ軽減されます。しかしその一方で、機械による運転のリズムが違和感となって、長時間その運転に委ねているうちに車酔いの症状が出てしまうというケースもあるようなんです。
ドライバーは、運転していれば自分のリズムで操作してその挙動に自然と備えているので酔いづらいのですが、自動運転ではほかの乗員と同じ状態になります。
小さなカーブが連続するような場面やストップ&ゴーを繰り返す渋滞の場面では、見晴らしのいい運転席に座っていても、自動運転のリズムとの相性が悪いと酔ってしまうというのはわかる気がします。
そんな車酔いに関してつい最近、効果が見込める方法があるという研究結果が発表されました。ここではその車酔いを軽減してくれるという研究成果を紹介しつつ、その効果のほどを少し掘り下げてみましょう。
■いまさらなぜミントガムの研究を?
昨今はグミの人気が高まってきていることなどから、ガムを噛む人が減っているそうです。たしかにコンビニの販売スペースを振り返ってみると、グミのほうが陳列スペースが多く、より目立つ場所に配置されているのが感じられます。
もちろんロッテでもグミの販売はおこなっていますが、昔から「お口の恋人」というキャッチフレーズで親しまれ、ガムといえばロッテという位置付けにあっただけに、ガムの地位を復権したいという想いがあったようです。
また、ガムの開発ではなんといっても香りが命。その研究を古くから行なってきたロッテでは、香りに対するノウハウは自社のアドバンテージであり、誇りの部分です。手軽に摂取できるガムというスタイルで、香りによって車酔いが軽減できれば、という想いから、研究がスタートしたようです。
■「ミントガム」が車酔いの防止に効果があるらしい
その研究成果というのは、昨今増えているゲームの映像酔いや自動運転の際の車酔いに対して、ミントガムを噛むことでその酔いが軽減されるというものです。この研究は、お菓子メーカーのロッテの研究チームの主導で、国立大学法人三重大学工学研究科の小川将樹助教授のチームと協力して行われました。
その研究の成果は「人間工学(2023年59巻5号)」に論文掲載され、自動車関連のさまざまな媒体でも注目されました。
カンタンにいってしまうと、運転中にミントガムを噛んでいる人と噛んでいない人とで、車酔いによる気持ち悪いという感覚の発生が、噛んでいる人のほうが少なかったというものです。
実験は、健康な20〜25歳の成人男女47人を対象として行われました。方法としては、マイクロバスに20分間乗車して揺られながら、配られたスマホで、与えられた課題を解いていくという作業をこなし続けるというものです。
このとき、ミントガムを噛んでいた場合とそうでない場合で、気持ち悪さの感じ方に差が出るかのデータを取ったそうです。
具体的には、乗車中は2分おきに気持ち悪さを10段階で答えてもらい、乗車の前後でSSQ(Simulator Sickness Questioner)という酔いの症状の診断メニューでの結果を加えて総合的に判断したそうです。
その結果、主観的な気持ち悪さの感じ方、眼に対する影響、ふらつき具合などの診断項目全体にわたって、ミントガムを噛んでいたときの方が酔いの影響が少なかったという成果が得られたとのことです。