この記事をまとめると
■スマホメーカーの大手である「ファーウェイ」が自動車産業に参入する
■クルマを開発・製造・販売するのではなく自動運転システムの開発などを行う
■IT系企業の本格的な自動車産業への進出により自動車産業界の勢力図が大きく変わる可能性がある
ファーウェイの自動車業界参入でクルマが大きく変わる
あのファーウェイが本格的に自動車産業に参入する。そう聞いても、日本人にとってファーウェイはあまり馴染みがないブランドかもしれない。日本では家電量販店やネット通販サイトで取り扱うダブレットメーカーといったイメージであろう。
ところが、グローバルで見ればファーウェイはグーグルのアンドロイドフォンやアップルのiPhoneに対抗する独自OS(オペレーティングシステム)を持つ超大手スマホメーカーなのだ。
そのため、「ファーウェイが独自のクルマを作るのではないか?」という噂がこれまで絶えなかった。なぜならば、グーグルとアップルがクルマ関連の開発や事業を行っているからだ。たとえば、グーグルは自動運転技術での知見を生かした社内プロジェクトを独立させたベンチャー企業のウェイモがある。また、アップルもプロジェクトタイタンという、社内プロジェクトで自動運転車やEVの開発を行ってきた。
しかし、ファーウェイのCEOは巷の噂を打ち消すかのように近年、自社でクルマを企画・開発・製造・販売する計画はないと断言している。そうしたなか、2023年4月に開催された中国・上海モーターショーで、ファーウェイはクルマに関する大きな発表を行ったのだ。
それが、Huawei ADS 2.0である。ADSとは、アドバンスド・インテリジェント・ドライビングシステムのこと。つまり、日本ではADASと呼ばれる、自動運転技術を用いた先進的な運転支援システムに関する、ファーウェイ独自のシステムだ。
Hauwei ADS 2.0の特徴は、高精度地図を使わなくても、車載の各種センサーからの情報だけで自動運転レベル3にかなり近い、自動運転レベル2を実現できることにある。日本でも近年、オーナーカーと呼ばれる乗用車の自動運転については、2030年頃まではレベル2の高度化が進み、レベル3の普及は2030年代に入ってからになるとの共通認識を自動車メーカー各社が持っているところだ。具体的には、スバル「新世代アイサイト(アイサイトX)」や日産「プロパイロット2.0」などがある。