コクピットもドライバーファーストを追求
1.6リッター直列3気筒ターボは、200kW(272馬力)から224kW(304馬力)へと34馬力のパワーアップを果たし、トルクは370Nm(37.7kgf/m) から400Nm(40.8kgf/m)へと高められた。高出力化に合わせて、冷却効率向上を目指したデザイン変更が施され、スチールメッシュやバンパーのロアサイドにアウトレットを追加。GR-DAT搭載車両には空冷のATFクーラーが標準で装備されるなど冷却対策も万全だ。
操縦安定性や耐久強度の基本となるシャシーとボディも見えない進化を遂げており、スポット溶接の打点を13%増加、構造用接着剤の塗布部位を24%拡大することでボディ剛性が高められている。サスペンションの取り付け方法を変更したほか、ボディとショックを繋ぐボルトを増やすことでステアリング操作時の安定性を高め、よりドライバーの意図が反映できるようになったという。
コクピットもまたドライバーファーストが追求されている。操作パネルや各種ディスプレイをドライバー側に傾ける形で設置しているのは、スーパー耐久の現場からのフィードバック。シートベルトでシートに固定された状態での操作が可能だ。
また、ATのシフトレバーは現行のGRヤリスRSよりも高い位置に設置され、MTモデルと同等の位置に。パドルシフトによる変速も可能だが、ハンドル操作が頻繁となるラリーシーンなどでは、ATのシフトレバーの操作性が重要になってくると想像できる。こちらもレースシーンを想定したATならではの実践的なレイアウト変更となっている。
そのほか、従来の4WDモードに加え、新しいドライブモードが設定された。スポーツ走行や市街地など、シーンによってステアリングの手応えやエアコン設定、メーター表示などが変わり、GR-DAT装備車はアクセルのレスポンスや使用するギヤまでが制御される。
コンペティティブな生まれとはいえ、スポーツ走行と日常使いの両立が可能である点は、やはりヤリスをベースとしている所以。発売予定は、全国のトヨタ車両販売店を通じて2024年春頃、発売価格は未発表となっている。