この記事をまとめると
■日本の自動車業界は相次ぐ不正問題やEVシフトで変革期を迎えている
■戦後の努力で欧州車と並ぶ評価を得るようになった国産車だが、そこで慢心してしまったのではないだろうか
■いま、21世紀にどのようなクルマを生みどのような交通社会を築きたいかが問われている
伸び悩む日本の自動車業界と日本
効率よく儲ける。それでも、過去20~30年にわたり個人の所得は上がっていない。諸外国と比べて、日本の置かれた状況は異常だ。
ダイハツで起きた問題は、一社の話ではない。ここ数年来、自動車業界では、燃費の偽装、生産における検査の不備、車検整備の不適切な行為など、自動車業界の不祥事は枚挙に暇がない。それでいて、電気自動車(EV)は、知見を積み上げたメーカーにしか作れないなどと嘯く。ところが、EV市場を牽引するのは、歴史の浅いメーカーだ。
不遜の極みというしかない。日本人は、猛省が求められる。
なぜ、こうなってしまったのか。
第二次世界大戦での敗戦後、日本は地道な努力を重ね、1980~90年代には世界有数の経済大国となった。クルマでいえば、高級車やスポーツカー、GTカーで欧米と伍するまでになり、ところが慢心し、安易に儲けることに味をしめたということだろう。
戦後、あれだけ頑張ったのだから、そろそろラクをして儲けてもいいのではないか。それは、人間の欲望の原点である。それをすべて否定することはできない。だが、そろそろ潮時だ。