タイでMGがジワジワ存在感を増している! トレンドを察知して瞬時に動く中国メーカーの「らしさ」 (2/2ページ)

MGはタイでかなりの存在感がある

 ただし、前述した販売ランキングにおけるMG車の最高位はEP(513台販売)というモデルになる。EPは、中国国内では上海汽車のブランドのひとつ、ロエベ(栄威)にEi5 という車名で、中国国内では2017年にデビューしており、タイ国内では2020年にデビューしている。EPはこのEi5の初期モデルとなる。中国国内では2021年にフェイスリフトを実施しているようで、このモデルはタイ国内ではMG ESとの車名でラインアップされている。

 EPの登場は、単にBEVというだけではない部分で多くのタイの人に注目されたと筆者は見ている。それは、いままでタイにはほぼ存在していなかったステーションワゴンスタイルを採用しているところにあり、これが注目された理由のひとつだろう。はっきりいって、モデルとしてはかなり古い部類に入るのだが、ショー会場に展示されていると意外なほど展示車に人が集まっている。

 バンコク市内で定点観測していると、EPが走っている姿をすぐに目撃することができる。EPについては、ライドシェアドライバーが購入する際に負担が軽くなるといった特典が用意されているので、ライドシェア車両として使われていることも、街なかで多く目にする理由となるのかもしれないが、よく見ると、一般ユーザーの使用らしきものも目立つ。価格は99万8000バーツ(約400万円)となっている。

 BEVではないのだが、インドネシアの首都ジャカルタで開催されたGIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー2023)では、BMWがM3ツーリング、アウディがRS4アバントを展示していた。

 バンコク・モーター・エキスポでもRS4アバントが展示されていた。ちなみにスバルもインドネシアやタイでアウトバックを販売している。どうも最近、東南アジアでは感度の良い富裕層を中心にステーションワゴンが流行っているように見える。MGもこのトレンドを見てEPやESを導入したかは定かではないが、注目を浴びているのは間違いない。

 単にBEVを市場導入するだけではなく、参入した市場のトレンドを敏感にキャッチして対応するあたりは、腰が軽くレスポンスのいい中国メーカーらしいなあと感じた。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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