俺の愛車はやっぱり格好いい!
しかし、このような「クルマ好きがついやってしまう行動」は、もちろんこれだけではない。
代表的なのは、「渋滞中や信号待ちの間、店舗などのガラス壁に映る愛車の姿をまじまじと見つめて『やっぱ俺のクルマ、シブいな……』と思う」という行動だろうか。もしかしたら助手席の同乗者は、道行く女性の脚などを見て鼻の下を伸ばしているのでは? と思っているかもしれないが、あいにくこちとらそんなモノは見ていないのである。
ただただ愛車を見つめているだけなのだ。おそらく、非クルマ好きな各位には理解不能な行動だろう。「女性の脚を見ている」というほうが、まだ一般的な理解の範疇にあるのかもしれない。
そのほかには「クルマを駐車枠に入れたあと、気が済むまで遠目で眺め続ける」というのもありそうだ。
GR86でもスバル・レヴォーグでも、あるいはBMWでもなんでもいいのだが、イオンなどの駐車場に自車を停め、キーをロックしたのちに店舗入口へと向かうひとりの男性。だが向かったと思えば立ち止まり、振り返って愛車を眺めている。で、何やらひとつ「うむ」などとうなずいて、再び店舗入口へと向かう。しかし彼はまた立ち止まり、振り返る。……どうしたのだろうか? 「そういえば俺、鍵かけたっけ?」とか思っているのか?
違う。彼はただただ気が済むまで愛車の姿を遠目で眺め、「やっぱシブいな、俺のクルマ……」と、しみじみしているだけなのだ。理解不能であるとは思うが、同行のご家族などは、どうか「おとうさん、早くして!」などと急かさないでやってほしい。
このほか、筆者はあまりやらないが、レストランなどで「店内から愛車が見える位置の駐車枠にクルマを入れ、飯を食う」という意味不明な行為をしているクルマ好き各位もいるだろう。とにかく見ていたいし、いたずらやドアパンチなどを行う不逞の輩から愛車を守りたいとも思っているのだ。どうかそっとしておいてあげてください。
ここまで紹介したいくつかの奇怪な行動は、それでもまだギリギリ一般人の理解の範疇にあるはずであり、他人に迷惑をかける類のものでもない。それゆえ、筆者自身のことを含めて「見かけても、どうか見て見ぬふりをしてあげてください」というのが、クルマ好きではない各位への切なる願いだ。
だが、より症状が進行して「クルマに(内心ではなくリアルに)話しかける」「金などないはずなのにアフターパーツを買いまくる」などの猟奇的な行動を取り始めたら……しかるべき機関に相談を持ちかけるべきタイミングなのかもしれない。そのあたりはケース・バイ・ケースで、慎重に観察とご判断をいただけたならば幸いだ。