この記事をまとめると
■スーパーカー大王の山崎元裕さんに「あなたにとってクルマとは何か?」を聞いた
■山崎元裕さんがクルマに求めているのは個室としての機能
■クルマが与えてくれる「動く個室感」こそ、クルマの最大の魅力だ
最近は衝動買いをしたくなるクルマが少ない
今回はまたずいぶんと難しい質問を投げかけられたものである。だって自分でクルマを所有するようになってからすでに42年。その始まりは日本車だったけれど、すぐにイタリア車のマイブームが訪れ、それに続いてアメリカ車にハマり、現在では質実剛健なドイツ車時代が10年以上も続いている。その途中にはフランス車にも乗ったけど、そういえばいつも欲しいといいながら、イギリス車だけは買ったことがない。まぁ単純に縁がなかっただけの話だ。
このように自分にとってクルマとは、突然欲しくなってしまう商品なのであって、実際にそれに興味を持ったら、調べる、欲しくなる、買いに行くという行動を起こすのみ。究極の衝動買いをしてしまうのが、自分のクルマの買い方だ。とはいえ最近はその衝動買いをしたくなるクルマも少なくなり、そして何よりクルマ自体が高くなってしまったので、この衝動買いも7年ほどは鳴りを潜めている状態。このままだとクルマそのものに興味を失ってしまいそうで怖いというのが本心でもある。
それでもモータージャーナリストたる肩書きを持つ自分は、ニューモデルの多くには試乗できるチャンスがあるので、いわゆるクルマ離れには至っていない。それがどんなセグメントの、どんなサイズのクルマであっても、初めてドアを開けてコクピットに身を置くときの第一印象は忘れられないものだ。
そこからアクセルペダルを踏み込んで走り出すのと同時に、このクルマのオーナーはどんなライフスタイルを送るのかを想像するのが、クルマの評論ではとても楽しいのだ。
そのライフスタイルを演出するために正確に機能し続けるメカニズム。あるいは家族のライフスタイルを表すかのようなボディデザイン。彼らは何を求め、このクルマを衝動買いするのか、あるいは他車と比較して購入するのか。その一連の行動を想像できるのもクルマの魅力だ。