オープンカーに大切なエレガントさはドコへ? 屋根がなければいいってもんじゃないってことを思い知らせてくれたクルマ4台 (2/2ページ)

商品化して大失敗したモデルと商品化しなくてよかったモデル

スズキX-90

 屋根を切り払ったというより、X-90の場合はクロカン4WD、2シーターのオフロードクーペという存在そのものが驚異と呼べるかもしれません。1995年、同社のエスクードをベースにブリスターフェンダーやリヤウィングまで装備したクーペボディを架装。しかもTバールーフも楽しめるバリエーショントップを備えるという大盤振る舞いなんですが、いかんせんクセが強すぎたかと。

 1993年の東京モーターショーに参考出品した際、各国の報道関係者から高評価を受けたとされていますが、生産にまで踏み切るとは誰も想像していなかったはず。実際、販売台数は1400台弱と目も当てられない数字に終わってしまい、担当者は「こんなはずでは」と首をひねったに違いありません。

 とはいえ、レストモッドの世界ではポルシェ944やデトマソ・パンテーラをオフロード仕様にカスタムするのが大流行りですから、X-90のコンセプトはちょっと早すぎただけなのかもしれませんね。だいぶ、無理筋ですけど(笑)。

トヨタ・アルファード・エルキュール

 ご記憶の方も少なくないはずのアルファードのコンセプトカー「エルキュール」。モナコのヨットハーバーから名付けられたそうですが、市販しなくてよかったのではないかと納得することしきりです。

 キャンバス製のロールトップですから、特装メーカーあたりならすぐにでも作れそうですが、ここまで開口部が広大だと開放感や爽快感が大味になってしまうのではないかと。平たくいうと、天井がないお茶の間でくつろいでる感であり、スポーツカーのそれとはだいぶ違う気がします。

 しかも、インテリアはゴージャスなクルーザーをイメージしたものですから、エルキュールをエンジョイできるのは世界広しといえども若大将くらいではないかと(笑)。

 もっとも、バニングカルチャーが好きな方であればダイナミックなチョップトップを夢見たこともあるかと。それでも、風通しがよすぎるとか、走行中にはしゃいだ子供が飛んでったとか、クリアしないとならないハードルがいくつもありそうです。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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