ユーティリティ面は大幅にブラッシュアップか
インテリアでは、最近のスバル車(2代目の現行レヴォーグ以降)と共通する、タブレットのような11.6インチのタッチスクリーン式縦型大型センターディスプレイ(SUBARU STARLINK Multimedia system)が採用されているのが新型だ。
現行型は8インチだから、その違いは明白。乗り込んですぐに新型だとわかる大きなポイントとなる。ちなみにメーターは、オーソドックスな2連タイプ(左に回転計、右に速度計)で、中央にマルチインフォメーション(アイサイト表示など)が配置されるレイアウトに変化はない。シフターは現行型とほぼ同じ。プッシュ式などは採用されない模様だ。
日本仕様のソルテラやレイバックに採用されているHarman Kardonプレミアムオーディオシステムも北米仕様では用意されているが、ここ最近の流れからすれば日本仕様にも採用されるはずで、となると、車内の静粛性についてもワンランクアップすることになる。Harman Kardonプレミアムオーディオシステムが標準装備されるレイバックがそうであるように、同オーディオシステム搭載車には、特別な防音、遮音対策が施されることになるからだ。
ちなみにラゲッジスペースではハンズフリーリヤゲートが用意されているが、使い勝手にもかかわる可倒式の後席の分割は今回も4:6のまま。本音を言えば、欧州車の採用例も多い4:2:4分割を実現してほしかった。
北米のフォレスターは、カリスマドッグトレーナーのシーザー・ミラン氏も愛用する、国内外の愛犬家にも人気のSUVだが、大型犬をやむなくラゲッジスペースに乗せる際、中央の2部分を倒すことで、最大4名乗車が可能で、かつラゲッジスペースにエアコンの風が届きやすく、さらに後席の飼い主と犬のアイコンタクトがしやすいメリットが生まれるからである(モータージャーナリスト兼ドッグライフプロデューサーでもある筆者の意見)。
エクステリアデザインで新型らしさをおおいにアピールする次期型フォレスターだが、ボディサイズは拡大している。現行型は国内でも使いやすい全長4640×全幅1815×全高1715mm(ルーフレール装着車は1730mm)。ホイールベース2670mm。最低地上高は220mmというサイズ、スペックだ。
一方、19インチホイールが用意される次期型は最低地上高が現行型と同じ8.7インチ=220mm。ボディサイズはやや拡大していると思われるが、依然、日本の路上、駐車場でも扱いやすいサイズに収まっているはず。5代目から6代目に乗り換えるユーザーも安心していいと思う。
当然、最新のアイサイトが搭載され、D型レヴォーグやレイバックの例から推測すると、アイサイトXによる3D高精度地図ユニット、GPSだけでなく、準天頂衛星による運転支援がもたらす渋滞時のハンズオフドライブ、自動車専用道路でのカーブ前速度制御、料金所手前速度制御などが盛り込まれていると期待したい(アイサイトX搭載時)。C型レヴォーグから用意されたアイサイトXは、いまやスバルの標準的先進運転支援機能になりつつあるのである。
肝心のパワーユニットは水平対向4気筒。北米仕様では2.5リッターを搭載するはずだが、国内仕様はどうか。現行型は2リッター+モーターのマイルドハイブリッドとなるe-BOXERと1.8リッター直噴ターボ”DIT”の2種類だが、e-BOXERはこれからの時代に欠かせないパワーユニットになるだろう。とはいえ、全体の燃費性能の向上は気になる人は気になる、スバル車の水平対向エンジン+AWDのほぼ唯一となるウィークポイントでもあり、強く期待したいところだ。
話をエクステリアデザインに戻すと、アメリカ人の好みを反映したと思われるフロントビュー(フロントグリル)は、我々日本人にとっては好みが別れるかも知れない。販売ボリュームからすれば、アウトバック同様に北米市場が圧倒的に多いフォレスターだから、それで正解なのかも知れないが、次期型登場時点での国内の反応は大いに気になる。
もし、「現行型のフロントビューのほうが好み、違和感なし」と感じ、いますぐにフォレスターに乗りたいなら、熟成された現行型を狙うのもアリだろう。納期は2023年12月8日時点で1.8リッター、e-BOXERの両パワーユニットともに約2カ月となっている。