ドアパンチャーを見極める眼力を養え
駐車場内に生息する魑魅魍魎その3は「ドアパンチャー」。文字どおりドアパンチをカマしてくる不届き者だが、これがなかなかの強敵だ。
ドアパンチャーからのアタックを防ぐ常套手段は「端っこの枠に停める」とか「両サイドが空いている枠に停める」というものである。これはもちろんきわめて有効な対策なわけだが、クルマというのは必ずしも常に「一番端っこの枠」や「両側が空いてる枠」に都合よく停められるものでもない。混んでいればどうしたって「両サイドが埋まっている枠」に停めざるを得ないのだ。「端っこが空いている駐車場、またはガラガラな駐車場が見つかるまで、俺は止まらないぜ!」という荒業もあるだろうが、あまり現実的ではないはずだ。
こうなったときに重要なのは「どこを選んでもイマイチななかで、どの枠が比較的マシか?」を見きわめることだ。いま空いている枠のなかで、ドアパンチ被害を受ける可能性が相対的に低い枠はどこか? ということを瞬時に判断するのである。
では「ドアパンチ被害を受ける可能性が低い枠」とはどんなものか? それは、おおむね下記のとおりだといえるだろう。
【被害を受ける可能性が低い枠(順不同)】
・両隣のクルマがピカピカの、比較的高額なクルマである。
・両隣のクルマが、いかにも「クルマが好きな人」が乗っていそうな車種である。
・両隣のクルマが、真っ直ぐ停まっている(運転が下手な人ではない)
・両隣のクルマは決して高額な車種ではないが、目立ったキズやボコボコのへこみなどは見当たらない(いわゆる無敵の人ではない)。
・両隣のクルマが、比較的全幅の狭い車種である。
・地面に大きな傾斜がない枠である(地面が傾いていると、隣のクルマの乗員がドアを開ける際、思いのほか急にガバっと開いてしまうことがある)。
・両隣のクルマに「高齢運転者標識」が付いていない。
上記条件のほとんどに当てはまる枠が運良く見つかればベストだが、なかなかそううまくもいかないだろう。したがって、「ベストではないが“ベターな枠”はどこか?」という観点で枠を選ぶのが、現実的な対策となる。
だが、これをやっても理論上、ドアパンチ被害の可能性をゼロにすることはできない。もしも不運にも被害にあってしまった場合は警察に連絡を入れ、証拠を保全する(当て逃げされた箇所や現場周辺をスマホのカメラなど撮影し、どのようにクルマを駐車していたら、どのような傷がついたかなども撮影する)。腹立たしいが、仕方のない作業である。
以上が駐車場内に生息する主な魑魅魍魎を撃退する方法だが、駐車場内では――とくに疲れているときは――自分自身が魑魅魍魎になってしまう可能性もある。そうはならないため、自戒を込めつつ、以下の点にはくれぐれもご注意願いたい。
・駐車場内で子ども連れや高齢者を見かけたらとにかく徐行する。
・天井が低い駐車場では、自車のオートリヤゲートが天井にぶち当たらないよう気をつける。
・枠番を間違えて、隣のクルマの駐車料金を精算してあげないよう気をつける。
ほかにもあるかもしれないが、さしあたっては以上である。どうかご安全に。