これはこれでいいじゃないか!
筆者は当時のロータス社の経営事情など知る由もないが、「まぁ2シーターのピュアスポーツ路線はそれはそれでいいんだけど、それだけじゃ商売ってものはどうしたって頭打ちになるし、世の中では1964年に発売された2+2の『ポルシェ911』が大層売れてるわけだからして、弊社としてもラグジュアリースポーツ路線のビッグウェーブに乗るしかないでしょ!」というような社内会議あるいはコーリン・チャップマンの独断が、おそらくはあったのだろう。
そして出来上がったロータス初の4シーター車である2代目エリートは、不格好(?)ではあったものの、前述したような意欲的な設計が随所に施されており、先ほどから「?」マーク付きで繰り返されている「不格好」という点についても、じつはそれほど不格好ではないと、個人的には感じている。
2代目エリートの全体的なフォルムは英国伝統の「シューティングブレーク」を範としつつ、味わい深い変態チックなフォルムを(たぶん)意図的に採用している。その姿形は、たしかに一般ウケはしにくいのかもしれないが、良い意味での自動車変態各位には、じつはかなり刺さりそうなデザインであるとも思うのだ。
しかし、結果として当時のロータスの「ラグジュアリー路線」は不発に終わり、深刻な経営難を経て、結局はエリーゼに代表されるようなピュアスポーツ路線へと先祖返りしていった。
こういったロータス社の過去の迷走をあざ笑うのは簡単である。「言わんこっちゃない(笑)」「だからやめとけって言ったのに(苦笑)」みたいなことは、あとからであれば誰にでも言える。サッカー競技をスタジアムの上のほうの席から、あるいは高所に配置されたテレビカメラを通して観戦し、「あーっ! 逆サイドはフリーなのに、なんでパス出さねえんだよ! 下手くそが!」とヤジを飛ばすようなものだ。
だが、1970年代のロータス社は、当時の自動車産業界という平面のピッチで挑戦し、戦ったのだ。そして、結果として勝てなかっただけのことなのだ。
それは決して嘲笑されるべきものではないのである……というか2代目エリート、いま見るとめっちゃシブくないですか? どこかで売ってないかなぁ……と思って中古車情報サイトを見てみたら、1台だけあるじゃないすか! 価格は「応談」とのこと! うむぅぅぅぅぅ……。