充電器の問題が普及を妨げている
全体的に、一部の例外を除いてミニバンはHVが定着してきたといえる。次の商品戦略として、PHEVかEVかという今後の方向性が定まってくるのではないか。その際、上級ミニバンはそれなりに高額商品ではあるが、ファミリー向けミニバンはSUV以上に販売価格を抑える必要がある。EV化へ向けた動きがやや鈍いかもしれない。
充電基盤においても、自宅に基礎充電(200Vの普通充電)を設置しにくい集合住宅に住む人がミニバン所有者には多いと想像でき、いきなりEVへ行くには障害が残りそうだ。
集合住宅の基礎充電設置は、徐々に解消されだしている。その進捗次第で、ミニバンEVへの要望も高まるかもしれない。燃料代や整備代を含め、利用に際しての経費はEVの方が安上がりになる可能性があり、集合住宅にEVがあれば、万一の際の電力支援の道も開けるからだ。
セダンについては、日本での関心が低くなり、EV化しても販売台数を見込みにくい懸念はあるだろう。一方、法人の利用ではなおセダンへの要望があり、「なぜ国産EVセダンがないのか」という企業からの声がある。法人で利用する場合、輸入車だと銀行からの融資や税務調査で経費として認められるかといった特殊な実態が日本にはある。
クラウンセダンに燃料電池車(FCV)があるが、水素スタンドが全国で160カ所程度、なおかつ営業時間が限られる現状では、業務で使うクルマとしての利便性に欠ける。EVであれば、事務所に戻りコンセントにつなげば翌日には満充電となり、仕事を終えたあと燃料補給のための運転手の残業がなくなる。それは、働き方改革にもつながる。
需要が少ないとはいえ、法人での要望に応えるセダンを残すのであれば、FCVではなくEVであるべきではないだろうか。