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合成燃料もバイオ燃料も水素も性能はもはや十分! カーボンニュートラルへの壁は「いくらで作れるのか」のコスト問題だけだった (2/2ページ)

合成燃料もバイオ燃料も水素も性能はもはや十分! カーボンニュートラルへの壁は「いくらで作れるのか」のコスト問題だけだった

この記事をまとめると

■現在は合成燃料の登場によってカーボンニュートラルは可能だという結論に至っている

■水素燃料もバイオ燃料も理論的には不満のないレベルで活用できる新燃料だ

■問題は燃料のコストであり、普及するには現状の石油製品並みの価格帯に落ち着かないと市場が目を向けない

合成燃料であればカーボンニュートラルを実現できる

 自動車界における2023年の大きなニュースは、EU圏で合成燃料(e-fuel)が認められたことだろう。それまでは、地球温暖化を防止する意味から、2030年をひとつのメドに、二酸化炭素を排出する内燃機関車の製造、販売をいっさい認めないという姿勢だったもののが、合成燃料の登場によってカーボンニュートラルは可能だという結論に達し、合成燃料を使用する車両に限り、2030年以降も製造、販売を認可するという状況に変わったからだ。

 大きく影響したのはドイツ国内の動きで、自動車メーカーが政府に強く働きかけ、合成燃料のカーボンニュートラル性を認めさせるといういきさつだった。

 さて、この合成燃料だが、燃料名が意味するように、「合成」した燃料を指している。では、何と何を合成したのかといえば、それは水素と二酸化炭素のことである。元素記号で表せばCO2とH、つまり炭素(酸素)と水素の組み合わせによる燃料成分は化石燃料と同じであり、CとHを合成すれば、ガソリンや軽油と同等・同質の燃料が作り出させることを意味している。

 燃料成分が同じなら、これまでどおり化石燃料から作られたガソリンや軽油でいいじゃないか、という話になるが、現実のロジックは少々異なっている。新たに採掘した化石燃料を燃やすと、その分だけ二酸化炭素は発生するが、合成燃料は、水素と大気中の二酸化炭素を使って作るため、燃焼後に排出される二酸化炭素はもともと大気中にあったものだけに、大気中の二酸化炭素の総量を増やすことはない(減ることもない)、という考え方が成立する。大気中から取り込んだ二酸化炭素を再び大気中に排出するだけなので、二酸化炭素の総量は、プラスマイナスゼロという相殺勘定が成り立つことになるからだ。

 気になるのは、燃料が変わることによる性能の変動だ。じつはガソリン、軽油といった化石燃料は、熱エネルギー的にじつに優れた燃料で、自動車のように比較的小型な乗り物のエンジン用燃料としては、理想的な特性を備えている。問題は、燃料成分に含まれる炭素分で、燃焼すると酸素と結び付き二酸化炭素となって大気中に排出されることだ。

 ガソリン、軽油に代わる燃料として注目される合成燃料だが、これは燃料成分(水素/炭素)の結び付き方でガソリン、軽油に相当する燃料として活用することができることを意味している。ただ、まだ実用化途上の燃料であり、現状のガソリンや軽油に対してどれほどの性能を持っているかは公表されていない。理屈の上では、現状の化石燃料と同レベルの燃料になり得るということだが……。

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