見た目だけでなくインテリアと機能も秀逸
しかし、プリウスの評価はエクステリアデザインだけではない。これまでも、エクステリアはカッコいいけれど、インテリアはフツー……という、外観のデザイン性だけを追求したクルマが少なくなかった。が、プリウスはインテリアにもまったく手を抜いていない。
前席に座ると、傾斜の強いAピラー、アウトホイールメーターによるbZ4X的かつスポーティなドライビングポジション、最大12.3インチとなるセンターディスプレイの大きさ、一般的な形状になったシフター、オルガン式アクセルペダルなどから先進感をより強めた新型プリウスらしさが伝わってくる。
後席乗降性や居住性に関しては、クーペのように低いルーフラインから、頭上方向が狭まってはいるのだが、そんなことなどどうでもよくなるエクステリアとインテリアのデザインの手抜きなし仕上がりもまた、特別に評価したくなった理由のひとつである。
さらに、走りもまた、歴代プリウス最高だ。そしてZ、Gグレードに積まれるトヨタ最新の2リッターエンジン+2モーターによる第5世代ハイブリッドシステムは、システム出力が先代の1.6倍にもなる196馬力となり、その上でWLTCモード燃費28.6km/Lを達成。これもまた重要なポイントで、いまの時代に欠かせない燃費・環境性能面を考慮すると、自分のなかでは乗り心地極上、走破性にも優れるオールラウンダーにして次点とさせてもらったクロストレックとの違いといっていい。
と、2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤーでプリウスに10点を配点した理由として、ハイブリッドモデルについて説明してきたが、じつは本音は別のところにある。つまり、新型プリウスでも、システム出力が先代の122馬力から223馬力まで高められ、WLTCモード燃費(ハイブリッドモード)26.0km/Lを発揮するPHEVのほうを、より評価したのである(17インチタイヤを選択すると30.1km/L)。
その動力性能は2リッター級スポーツカーに匹敵し、0-100km/h加速は6.7秒(先代は11.1秒)という俊足だ。実際に、サーキットでの試乗でも痛快すぎる走りを披露。しかも、19インチタイヤによる乗り心地が路面によってやや硬めに感じられることもあるハイブリッドモデルに対して、PHEVは床下に敷き詰められたバッテリーによって、一段と低重心化されているのと同時に、重量増によって乗り心地にしてもより重厚、快適なタッチを示してくれるのだ。
PHEVはまだまだ高価で、ハイブリッドとの価格差は90万円もある。が、ここはプリウスに限った話ではないものの、国からの補助金55万円によってその差は大きく縮まる(東京都での登録なら逆転することも)。買うなら、昼も夜もそのスタイリッシュさを発散するプラチナホワイトパールマイカのボディのPHEVで決まり! なんていう想像を膨らませてくれたのもプリウスPHEVのほうだったのである。
いずれにしても、新型プリウスが2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤーをブッチギリで受賞したのは、まったくもって当然のことではないかと思っている。