この記事をまとめると
■日産はこれまで消費者のEVへの疑問に対して動画や画像を使ったさまざまな情報発信をしてきた
■初代リーフの台風や豪雨による洪水の発生を想定した冠水テストには多くの関心が寄せられた
■今後もクルマに新技術が搭載されると自動車メーカーが新試験を実施し、その結果を一般公開することになるだろう
日産はEVの安全性を証明するための試験内容を公開している
EVって、本当に安全なのか?
いまでも、そんな疑問を持っている人がいるかもしれない。電気というキーワードから、家電など身近な製品を思い浮かべてしまうからかもしれない。もしくは、普通のクルマ(ハイブリッド車やガソリン車)と比べて、まったく違うモノというイメージを持つ人が少なくないのかもしれない。
そうした疑問や不安に対して、日産は消費者向けに動画や画像を使ったさまざまな情報発信をしてきた。EVの普及がまだ大きく進んでいなかった2010年代前半には、とくに積極的な動きがあったことを思い出す。
なかでも多くの人が関心を持ったのが、台風や豪雨で洪水が発生した際を想定した冠水テストだろう。テストコースの一部で、水深30cmの状態を設定し、そこを初代リーフが大きく水しぶきをあげながら通過する様子が動画で公開された。線路の高架下、いわゆるアンダーパスをイメージできる。
日産によれば、水深70cmまでのテストも行っているというが、基本的にはEVであれガソリン車であれ、水のなかを走る行為は極力さけなければならない。リーフの冠水試験は、あくまでも技術的な立証と、緊急事態時の対応を示したものだ。
もうひとつの実験が、雷試験だ。試験室内で人工的な雷を発生させてリーフへの影響をみているものだ。また、充電中の落雷については、充電器側で安全装置が作動する。
そのほかでは、大きな段差を超えたり、山間部などで路面のうねりがかなり大きい場所を通過する試験も、日産は行っている。EVの場合、容量の大きな電池を車体下部に搭載しているため、そうした電池パックへの衝撃が加わった場合を想定したものだ。
繰り返すがこうした各種試験は、けっしてEV特有というものではないが、EVユーザーやこれからEVの購入を考えている人に対する不安を軽減するための、ひとつの手段だといえるだろう。
むろん、クルマの安全性にはさまざまな技術が導入されている。
たとえば、事故に遭遇してしまった際、乗員の身を守ってくれる衝突安全。車体の基本構造や、エアバックなどが機能する。事故を未然に防ぐのが、予防安全。いわゆる自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)やアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置などが、日本では軽自動車にも標準装備される時代になっている。
今後、クルマに新たな技術が搭載されると、それに対応して自動車メーカー各社が新たな自社試験を実施し、その一部が一般公開されることになるのだろう。