2023年登場の注目新車5台! それぞれの「マル」と「バツ」をズバリ評価した (2/2ページ)

トヨタを代表する2台に待ちに待った新型登場

■ミドルサイズハッチバック

プリウス(1月)

 ハイブリッド専用車のプリウスがフルモデルチェンジを実施した。先代型の売れ行きは最盛期の10分の1まで落ち込み、クルマ作りの大幅な刷新を行った。

○:いまでは売れ筋のトヨタ車にはハイブリッドが設定され、プリウスは存在感を弱めていた。そこで新型は燃費ではなく「ハイブリッドの付加価値」に焦点を当てた。モーター駆動の滑らかでパワフルな走りを際立たせるため、エンジンを2リッターに拡大して動力性能も高めた。伝統のハッチバックスタイルは、天井を低く抑えてた5ドアクーペに仕上げることで、デザイン面の特徴を一層強めている。

 ×:天井を低く、ピラー(柱)を寝かせたことで、乗降性が前後席ともに悪い。後席は着座位置が低めで窮屈だ。価格は大半のグレードが300万円を超える。

■ミニバン

アルファード&ヴェルファイア(6月登場)

 Lサイズミニバンの代表とされるアルファード&ヴェルファイアがフルモデルチェンジを行った。いまのトヨタは全店が全車を扱うが、両姉妹車を残した。そこでアルファードは豪華指向、ヴェルファイアはスポーツ指向と、姉妹車の性格を明確に区分している。

○:内装は豪華で、乗り心地も向上させた。3列目のシートは、足を前方へ投げ出す着座姿勢と、サポート性の不満も解消している。

 ×:周囲の車両を蹴散らすようなデザインのフロントマスクは、いまの殺伐とした時代には似合わない。ドライバーの高い視線とワイドなボディにより、遠方は見やすいが左側の死角は大きい。床を下げなかったため、前輪駆動のミニバンとしては乗降性が悪い。ノイズは全般的に小さいが、ハイブリッドのエンジン音は粗い印象で耳障りだ。足まわりが乗り心地を重視するアルファードに、19インチタイヤをオプション装着すると走りのバランスが下がる。また、アルファードの17インチ装着車は、乗り心地が快適な代わりに曲がる性能は低く、4WDを組み合わせたい。

 なお2023年12月時点では、受注が停止している。定額制カーリースのKINTOなら受け付けているが、使用期間が終了すれば車両を返却せねばならず、ユーザーの買い取りはできない。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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