正当な理由があればすんなり受け入れてくれる
ちなみに南カリフォルニアでは販売テリトリーのようなものは存在しないと聞いている。たとえば軽く日本での“首都圏”と呼ばれる地域に匹敵するような広大なロサンゼルス郡に住んでいれば、ロサンゼルス郡内のどのディーラーでも新車を購入することが可能である。アメリカでは在庫販売が原則であり、商談がまとまればそのまま新車を乗って帰ることができる。そのためディーラーは値引きなどの“特典”を強調しながら、在庫台数の多さも競って宣伝している。購入者も豊富な在庫のなかから好きなモデルを選びたいという気持ちもあるので、自宅から離れたディーラーで希望の在庫があれば買いに行くということも多いようである。
日本では手違いから、同じ店舗ですでにほかのセールスマンと商談中だとか、つきあいが例え薄くとも担当セールスマンが在籍している既納客と同じ店舗の別のセールスマンが商談してしまうと意外なほど大騒動になるとも聞いている。会社組織の一員として業務にあたっているものの、昔ほどではないがセールスマージンが支給される“歩合給”となるセールスマンは基本“一匹オオカミ”の世界。職場の同僚とはいえ、ガチのライバル関係となっているのである。
「なぜ自宅から遠いこの店舗にきたのですか?」と聞かれても、“買い物など日常生活でよく店の前を通るから“とか、“職場が近い”、“最寄り店舗周辺は渋滞もひどいなど意外に不便”、などと正当な理由があり、他店とすでに商談していなければ問題なく受け入れてくれる。すでに商談経験があっても“担当セールスマンとどうも波長が合わないので店を変えたい”といった理由があれば、これも問題ないようである。