この記事をまとめると
■ポルシェの初代カイエンと初代ボクスターは中古で100万円前後で買うことができる
■いずれももとが高級車なので故障時に正規ディーラーに行くと修理費用が高額になる
■故障や修理を楽しめ、自身の力やネットワークを駆使して直せるなら楽しい相棒になる
激安ポルシェの初代カイエン&ボクスター! 買っても大丈夫?
ポルシェとは「超高性能である代わりに超高額でもある」というクルマの代名詞のひとつ。911を新車で買おうとすると、一番安いやつでも1620万円はする(しかも車両本体だけで)。
しかし、初代ボクスターまたは初代カイエンの中古車であれば、かなりの激安予算でも買えるため、「ポルシェライフの入門モデル」として購入を検討している人もまあまあ多いのかもしれない。
たしかに初代ボクスター(1996~2004年)であれば総額120万円程度から中古車を見つけることができるし、初代カイエン(2002~2010年)であれば、さらに激安な総額70万円程度で中古車を買うこともできる。そのため、「……安くていいじゃん!」と考える人が出てくるのも不思議ではないのだろう。
だが、職務とプライベートを通じて中古輸入車をひたすら経験してきた筆者に言わせれば、両車は「ポルシェライフ入門用」としてはまったく不向きであり、まったくもっておすすめしない。ただ、中古車というものの酸いも甘いも噛みわけてきたマニア層であれば、まぁ買ってもいいのかもしれない。薦めはしないが――というのが本音になる。
なぜそう思うのか、まずは初代ポルシェ・カイエンの場合から考えてみよう。
確かに初代カイエンは、いまや激安予算で入手することも可能だ。具体的には、3.2リッターまたは3.6リッターのV6エンジンを搭載するベースグレードの格安物件が総額70万~100万円といったところで、最高出力450馬力の4.5リッターV8ツインターボを搭載するカイエンターボも、総額100万円台前半で見つけることができるだろう。
これらが想定どおりのパフォーマンスを発揮してくれるならば言うことなしだが、実際はなかなかそうもいかない。
格安価格帯の中古車というのは、一般的に「直すべきところ(交換したほうがいい消耗部品)はたくさんあるけど、まだ交換しないでもいちおう普通に走るし(この先どうなるかはわからないが)、車検も通りますよ」というコンディションで販売されていることが多い。高めである代わりに各部が整備済みである物件とは、いろいろな部分がずいぶんと違うのだ。
そういった初代ポルシェ・カイエンを、まぁたとえば総額100万円で入手したとしても、まともな神経をしているユーザーであれば、ソッコーであちこちの部品を替えたくなってくるはず。仮に替えたいと思わなかったとしても、クルマのほうがぶっ壊れることで「さぁ、私の消耗パーツを替えてください! 早く!」と迫ってくることもあるだろう。大きくて重くて古いクルマである初代カイエンの場合は、クルマの各部への負荷が大きめにかかってしまうぶんだけ、後者のほうが多いはずだ。
そんな初代カイエンでも、あちこちの部品を総取っ替えしてあげれば基本的にはシャンとした状態に戻る。だが、初代カイエンは腐っても……と言っては失礼かもしれないが、まぁとにかくもともとは大柄で高級なSUVなので、その部品代は決して安くない。普及クラスの国産車にしか慣れていない人が、近隣のポルシェセンター(正規販売店)にアッセンブリー交換を依頼しに行ったら、金額のあまりの高さに失神するのではないかと思う。
それゆえ、普通に考えれば「やめといたほうがいい」と言えるのだ。