ワーゲンバスより目立つこと間違いなし! いまシトロエン・タイプHが世界的に「キテ」る (2/2ページ)

独特なキャラクターはいまでも大人気!

 このボディパネルに波板を使用して補強を加えていることもタイプHの特徴。ちなみに、波板アイデアは第二次世界大戦時に飛んでいたドイツのユンカースJu52を参考にしたという説がありますが、シトロエンは物資の少なかった第一次世界大戦時にも波板鋼板を使用していた経緯があることや、「ドイツ人? 大っ嫌い」という国民性を考えると眉唾ではないかと思われます。

 デビュー当時は1.9リッターの直列4気筒エンジンを搭載していましたが、なにしろ1981年まで生産されていましたから、1.6リッター直4やディーゼルも3タイプあったなど、用途に合わせて選べたようです。それでも、ミッションはずっと前進3速、後退1速のままで、床からレバーが屹立しているのもタイプHの特徴といえるでしょう。

 少しだけ乗った感想としては「思いのほかシフトしやすい」ものでしたが、1200とか1500kgという車重に対して50馬力くらいでは「かなーり遅い」印象で、とても銀行強盗が逃走用のアシにするとは思えませんでした(笑)。

 結局、47万台あまりが製造されたタイプHですが、さすがにフランス本国でもめっきり減ってきたそうです。使い勝手は良くても、やっぱり商用車にとってパワー不足はいかんともし難いポイントなのかもしれません。

 とはいえ、上述のとおり、タイプHの人気にあやかってシトロエン・ベルランゴ(やフィアット・デュカト)、さらにはなんと軽バンや軽トラックをベースにしたオマージュモデルが登場しています。波板テイストのボディに、丸形ヘッドライトを加えたくらいのお手軽カスタムですが、キャンピングカー仕様になっていたり、キッチンカーになっていたりと現代的なテイストには事欠かないようです。

 iD.BUZZといい、タイプH現代版といい、レトロユーティリティといったジャンルはこれからも楽しげなモデルが出てきそうで、目が離せませんね!


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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