この記事をまとめると
■JAFが「信号のない横断歩道における歩行者優先の調査結果」を発表した
■全国で合計94カ所の信号のない横断歩道において調査し、約45%のクルマが停止した
■2016年の調査開始当初は7.6%だったので、数値上では6倍以上に増えている
信号のない横断歩道で止まるクルマが徐々に増えている
信号のない横断歩道、もしここで横断しようとしている歩行者がいたら、ドライバーは手前で一時停止をして歩行者に譲る「歩行者優先」が交通ルールだ。このルールはドライバーから軽視されがちなイメージがあるが、じつは最近そのイメージが変わりつつあるデータがJAFから発表された。
調査内容と結果
JAFは2023年10月に、「信号のない横断歩道における歩行者優先の調査結果」を発表した。これは各都道府県で2カ所ずつ、全国で合計94カ所の信号のない横断歩道において、歩行者が横断しようとしている場面で一時停止したクルマの割合や数がどれほどだったかという調査である。対象となった車両は7087台に及んだ。
その結果。一時停止したクルマは3193台で割合は45.1%となり、過去最高の割合となったという。調査結果の推移を見てみると、2016年からその割合は年々更新されている。2016年当初は7.6%であったが、割合で言えば7年前の約6倍になっているのはよい傾向にあるといえるだろう。
今年の調査でもっとも停止率の低かった都道府県でも20%を超えていて、これは2020年の平均停止率である21.3%よりも高かったことも発表されていた。それだけドライバーの歩行者優先への意識や関心が高まっていると言える。
JAF「ドライバーの意識の変化を実感」
データにも表れているように、歩行者優先へ対するドライバーの意識や関心が高まっている理由はどこにあるのだろうか? それは今回調査を公表したJAFを始め、多くの関係組織が歩行者優先に対する啓発活動を行っていることが背景にあるだろう。
JAFとしては、今回の調査を毎年実施し実態を公開することは、ドライバーはもちろん、関係企業や団体の意識を高めていくという狙いがあるからだという。「この調査を行い結果をまとめると停止率が年々増えている。ドライバーひとりひとりの意識が変わり始めていることを実感している」というコメントももらった。
歩行者優先以外にも社会問題とされる交通ルールは多くあるが、社会の話題となることでドライバーたちの意識が変わっていくいい例のひとつが、この歩行者優先といえるだろう。とくにこの調査に関しては、単純に社会問題として話題になるだけでなく、しっかりと調査を行い数値で実態が明るみになっているのが大きいはずだ。
これ以外にも問題になっている交通ルールも、調査した上で数値を出してもらいたいと感じた。
とは言っても半分以上は止まっていない
歩行者優先に話を戻すと、調査データが過去最高になっているとはいえ、まだ一時停止をしていないクルマは、この数字を見ると半分以上ということになる。見えていなかったり、忘れてしまっているドライバーもいるかもしれないが、横断歩道で歩行者がいるにも関わらず、一時停止をしないことは道路交通法違反となってしまう。
日ごろの運転から横断歩道手前では歩行者がいるか否かを確認し、歩行者優先を行うように心がけていこう。