この記事をまとめると
■水素をエネルギーとするモビリティの開発が進んでいる
■その代表的な例がFCEV(燃料電池車)だ
■トラックにおいてもFCVと水素エンジン2つのアプローチで開発が進む
トラック用のエンジンは2種類の方法が研究されている
日本はエネルギー資源に乏しい環境にあり、そのほとんどを輸入に頼っている。エネルギーの安定供給と脱炭素社会を目指すために、最近注目されているのが水素だ。水素は地球上でもっとも軽い元素であり、水や空気(水蒸気として)を始めとした多くの物質に含まれているほか、素材の還元剤(化合物を精製、あるいは分離するために使われる)としても利用されている。
その水素をエネルギーとして利用すると、化石燃料と違い、燃やしてもCO2は発生しない。酸素(O)と結びついて出来るのはH2O(=水)なので、水蒸気や水しか排出しないクリーンな動力が出来上がるのだ。
その代表的な例がFCEV(燃料電池車)だ。トヨタMIRAIを筆頭にしたFCEVは、水素を高圧タンクに充填して、空気中の酸素と反応させることで電気を作る。水を電気分解すると水素と酸素が生成されるのを逆転させると、電気が取り出されるのだ。
高性能なリチウムイオンバッテリーでも、化石燃料と比べればまだまだエネルギー密度は40分の1に過ぎず、航続距離と車両重量の問題はなかなか解決することができない。その点、FCEVであれば軽油やガソリンの4分の1程度に迫るエネルギー量を確保できる。しかも充填作業は液体燃料と同じ5分程度で完了する。急速充電でも30分以上かかるのと比べれば、その差は歴然だ。