決まったルートを走る定期便トラックは「水素」との相性よし! 開発が進む2つのアプローチとは (2/2ページ)

FCVだけじゃなく水素エンジンのトラックも開発されている

 さらに最近は、エンジンで水素を利用しようという動きが加速している。トヨタがGRカローラのエンジンを水素に対応させてスーパー耐久レースに参戦し、レースに参戦することで急速にノウハウを高めている。このレース仕様のGRカローラ、今年は液化水素を搭載して航続距離を伸ばしたほか、安全性も高まっているので一般ユーザーも車両そばまで近付いて見られるようになっている。

 水素はそれだけで空気中の酸素と結びついて燃焼し、排気ガスは水蒸気だけ(厳密には微量のエンジンオイルが燃えるのでCO2もわずかに発生する)なので、エンジンで使用してもクリーンなエネルギーとなる。そんなクリーンエネルギーをトラックでも利用しようという動きが広がっているのだ。

 燃料電池トラックはトヨタと日野、ホンダといすゞがタッグを組んで現在実証実験により開発を進めている。定期便のトラックの場合、水素を補充するステーションは輸送経路に設置されればいいので、さまざまなユーザーが乗用車でFCEVを利用するよりもインフラ整備を効率的に進めやすい。一方、トヨタと日野のFCトラックも、トヨタ製のFCスタック(燃料電池ユニット)を搭載している。

 水素を燃料とするトラック用エンジンも、現在2種類の方法が研究されている。ひとつはシリンダーヘッドを作り直して、点火プラグを追加してガソリンエンジンに近い構造とするもの。もうひとつは、軽油を併用して、まず軽油を微量噴射して自然発火させて、そこに水素を噴射して燃焼室内で燃焼させる、というもの。圧縮しても自然発火はしない水素は、何か火種がないと燃えない。しかし、燃えるときにはガソリンや軽油より一気に燃えるので、それを上手く利用することが水素エンジンを実用化できる鍵となりそうだ。


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