リトレッドの方法にも種類がある!
ではなぜ、乗用車ではあまり普及しないのだろうか。乗用車タイヤは軽量な車体で乗り心地を重視しているため、タイヤの剛性も高めることが難しくサイズも幅広いことから、リトレッドは難しくなっているのが現実だ。
タイヤメーカーが実施しているリトレッドは、非常に厳格な基準でタイヤの品質管理が行われており、昔の再生タイヤの業者が勝手にリトレッドしたものとは比べものにならないほど信頼性が高い。
リトレッドされるタイヤは、作業前に損傷がないか点検はされているが、目に見えない亀裂や断裂、劣化がある可能性も。そのため、タイヤメーカーではリトレッドの回数を制限している。当初は1回だけしかリトレッドできなかったが、タイヤメーカーもノウハウを積み重ねてより高耐久のタイヤ構造を作り上げ、2回、3回とリトレッドできるタイヤも登場している。
リトレッドの方法もいくつかあって、トレッドパターンが刻まれた板状のゴム材を台タイヤ(リトレッドするために表面を均一に削り落としたタイヤ)に貼り付け、外側をゴム製のバッグで覆って加熱することで一体化させるのがプレキュア方式と呼ばれる方法だ。バッグに入れて加圧、加熱されたことでトレッドゴムはタイヤと一体化される。加熱後にバッグから取り出されリトレッドタイヤが完成する。
一方、平たいゴム材を台タイヤに貼り付けて金型に入れて加熱することで、トレッドパターンを成型しながら一体化させるリモールド方式もある。コストを考えれば金型が少なくて済むプレキュア方式のほうが有利であるから、今後もプレキュア方式が主流となっていくと思われる。
乗用車や自動運転の小型バスなどはエアレスタイヤが登場し、徐々に普及する動きを見せているが、車両重量が重く、走行距離も多いトラックではエアレスタイヤの導入は難しい。まったく新しい構造のタイヤが登場するまでは、現在のラジアル構造の空気入りタイヤが利用され続けることになりそうだ。