シンプルなスタイルが人気を集めるように
デコトラのスタイルも年々変化している。昭和の時代では派手さが重視されていたが、平成後期からはシンプルなスタイルが人気を集めるようになった。派手なデコレーションよりも、造りボディや燃料タンクなどの補器類にこだわるスタイルが脚光を浴びるようになったのである。そのような手法で飾られたデコトラは、一般の人からすれば地味に映る。それゆえデコトラだと認識されることも少なく、荷主や顧客を無闇に刺激することはない。派手ではなく綺麗なトラックだと受け止められることが多いため、マニアから高評価を得ることも多いのだ。もちろん、一般的なデコトラ好きにもそれなりに注目されるため、仕事車には最適な飾り方であると言えるだろう。
『造りボディ』とは、その名のとおり特注で製作したボディのことを指す。既製品である簡素な吊るしのボディではなく、カッコよさや実用性、強度などを追究して製作したボディを載せただけでも、デコトラとして認知されている。近年では既製品を改造した、見た目だけのボディも造りボディと呼ばれているが、とにかくボディにこだわる人が増えている。ド派手に飾ったデコトラよりも多くの費用を、ボディの製作に注ぎ込むという人も少なくない。だからこそ、デコトラ愛好家たちの間では造りボディが注目されているのである。
どんな文化にも、その世界で生きる者にしかわからないような部分が存在する。ただ、日本が産み出したデコトラ文化の火は間違いなくアツく燃え続けているということを、知ってもらいたい。しかし、無知な人が発するデコトラが減ったという言葉をその都度否定する気はさらさらない。何事も目立ちすぎると規制が強化される傾向にあるため、細々と生き抜くことが得策なのだ。そのスタイルを変えながら、進化を遂げながら。デコトラ文化は未来永劫、続いてゆくはずだ。