【試乗】VWのフラッグシップEV「ID.7」に乗った! あえて「普通のクルマ感」を出したナチュラルな乗り味にBEVの可能性を見た!! (2/2ページ)

伸びやかなフォルムで広く快適なID.7

 キャビンはこの外観から想像するとおりの広さだ。シートまわりのスペースは、1列目、2列目ともにじつに広々としたもの。とくに2列目のフットスペースは驚くほどに広く、さらにフロア下にバッテリーを搭載していることなど感じさせない、自然な姿勢での乗車が可能だった。

 また、その後方に広がるラゲッジルームは、通常時には535リットル、1列目の助手席までを収納すると、最大値となる1586リットルのラゲッジを積み込むことができる。

 リヤゲートの開口面積も大きく、またテール側のラゲッジルームフロア下には、コンパクトではあるものの床下収納のスペースもある。これもこのクラスならではの大きな魅力といえそうだ。

 じっさいの走りも十分に期待に応えてくれた。すでにドイツではスタッドレスタイヤの装着義務期間に入っており、コーナリングなどではそれを差し引いての評価となってしまったが、286馬力の最高出力と545Nmの最大トルクを発揮する、リヤにレイアウトされるエレクトリックモーターが演出する加速感は物足りなさを感じさせるものではなく、これまでのガソリンエンジンに近いナチュラルなフィールに近いものだったのが印象的だった。

 ちなみに今回試乗したID.7 Proバージョンが搭載するバッテリー容量は77kWh。0-100km/h加速は6.5秒、最高速は180km/hと発表されている。2172kgの車重に対してこの加速性能は十分満足できる数字であるし、実際のドライブ中にパワー不足を感じるような場面はなかった。

 航続距離は603~621km。ブレーキはもちろん回生機能を持つが、強めの回生が入るBレンジでも、実際の制動力はさほど大きなものではなかった。コーナリングはやはり重量のあるバッテリーをフロア下に搭載するだけに、その安定感は抜群。

 ステアリングやサスペンションの動きを含め、フォルクスワーゲンは、このID.7をBEVとしての違和感をできるだけ抱かせない方向にチューニングしてきたようだ。そう確信させるに十分な、そしてBEVの可能性の大きさに期待感を味わえたというのが率直な感想である。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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