インテリアやボディカラーは新たな視点で企画
では、同車を担当したe-モビリティデザイン開発室の松村美月さんに会場でお話を伺ったので、ここでその声をご紹介したいと思います。
●CMFにはユーザーの気持ちを後押しする力がある
──では最初に。受賞車は「ファッションスタイル」というグレードですが、そもそもなぜN-BOXにこのカジュアルなバージョンを設けたのでしょう?
「以前から設定されている「コーディネイトスタイル」は華やかに飾るイメージですが、少し視点を変えて、より生活に密着し、目立ち過ぎずに自分の所有感を満たしてくれる世界観を作りたかった。内外装含めてリズムよく日常を過ごすイメージですね」。
──黄色を提案するにあたって、どのような色域にしようと考えましたか?
「じつは、当初はパッションを感じる方向で考えていたのですが、それだとN-ONE・RSのスポーティさやN-VANの道具感のようになってしまい、今回のペルソナとズレてしまう。そこで、自分が住んでいる街や持ち物とマッチするようなイメージで仕切り直しました。この「オータムイエロー・パール」は、ソリッドに比べて陰影をしっかり出しつつ、優しいハイライトが特徴なんです」
──インテリアは濃淡2色のグレーですが、一般的な淡いグレーだけではダメでしたか?
「はい。濃いグレーを水平貴重に配することで室内が広く見えることと、もちろん汚れが目立ちにくいという面もあります。また、グレーのみでは寒々しくなりがちですが、シートの素材が柔らかで温かい触感を持っていますし、パネル類に施した新しいシボは樹脂でありながら柔らかさを感じさせるんです」。
──では最後に。CMFデザインはエクステリアデザインに比べると若干脇役的なイメージがありますが、松村さんはCMFの可能性についてどう感じていますか?
「そうですね。ユーザー様が行動したい、前を向きたいと心の奥に秘めている気持ちを後押しし、活性化する力がCMFにはあると思っています。毎日何気なく眺めてホッとしたり、ストレスのない使い勝手に心地よくなったりするような力ですね。もちろん、エクステリアデザインと合わさることでよりパワーアップします!」。
──なるほど、本日はグランプリ受賞おめでとうございました。
●もっと注目されるべきCMFデザイン
先のとおり、カーデザインにおいてCMFが前面に出る機会はそう多くなく、やはりエクステリアデザインが話題の中心になりがちです。しかし、ボディカラーや塗料の開発に始まり、テキスタイルや樹脂類の素材研究など、CMFはじつに幅広い領域に渡る総合デザインです。
その意味で、この「オートカラーアウォード」の存在は極めて意義深いと言えます。あとは、たとえばイヤー・カー制度にCMFデザイン部門などができるとさらにいいかもしれませんね。
【オートカラーアウォード2023ノミネート車(概要)】
【二輪】
ヤマハ発動機 YZF-R7 ※特別賞受賞車両
カワサキモータース Ninja 7 Hybrid他
本田技術研究所 Dax125
【四輪】
ヤンマーホールディングス YT5114R
三菱自動車 DERICA MINI
トヨタ自動車 ランドクルーザー250
本田技術研究所 N-BOX
日産自動車 SERENA
SUBARU CROSSTREK
マツダ MAZDA 2 MAZDA CX-3