クルマのホイールをよく見ると「金属の板チョコ」みたいなものが貼ってある! 見栄えが悪くても外しちゃダメな重要パーツだった (2/2ページ)

現代の技術でもタイヤ&ホイールのバランスに偏りが生じるワケ

■ホイールの振動が発生する要因

 現代のクルマのホイールはかなり精密に作られているので、メーカー純正品や大手メーカーの製品であれば、単体では重量の偏りはほとんどないと言っていいでしょう。

 ただ、ホイールには空気を注入するためのエアバルブを装着しなくてはなりませんし、なによりも比重が高くて重いタイヤを装着しなくてはなりません。

 エアバルブは必ず装着しなくてはならないので、「ホイールの設計段階でその重量分を考えたバランスで作れば良いじゃん」と思った人もいるでしょう。でも、エアバルブにはいろんな形状、素材のものがあってその重量はバラバラですので、ぴったりバランスが取れる設計は難しいと思います。

 そのバルブ程度の重さでも高回転になれば、十分振動を発生する要因になり得るのですが、いちばん大きなファクターはタイヤです。

 大きなサイズの車両やスポーツ系の車両に装着されるタイヤは17インチ以上と大径サイズのものが多いので、その重量は1本あたり軽く10㎏を越えます。いまはホイールの軽量化が進んでいますので、ホイールよりもタイヤのほうが重いことになります。

 そして、重量バランスの偏りの影響は回転の中心から離れるほど大きくなりますので、タイヤのバランスの偏りがブレを発生させる最も大きな要因なのです。

■ホイールの重量バランスを整える方法

 タイヤの製造技術も進み、いまではかなり重量の偏りを抑えることができるようになっていますが、もともとの重量が大きいため、内部構造材やゴムのほんの少しのズレでも重量の偏りが数十グラムというケースも珍しくないようです。

 そのため、タイヤには「軽点」と呼ばれるいちばん軽い部分に黄色い丸でマーキングが記されています。

 この軽い部分と、ホイールのいちばん重い部分(=ほとんどの場合はエアバルブがある位置)を合わせることで、タイヤ組み付け時でのバランスの偏りを少しでも減らす工夫がされているんです。

 そのうえで、「ホイール・バランサーウエイト」を使ってさらに重量の偏りをゼロに近づけるためにバランス取りをおこないます。

■バランス取りって実際にどうやるの?

 ホイールのバランス取りは専用のマシンを使って行います。タイヤを組み付けたホイールをある程度の速度で回転させないとならないので、個人の装備でそれを行うのはほぼムリでしょう。

 マシンの軸には回転のブレが起こる角度を検知するセンサーが備わっていて、それによって重量がいちばん軽いポイントとブレの大きさが数値でわかるようになっています。

 それが判明したら、あとはその偏りを打ち消す重さのウエイトを、マシンが示した角度の位置に貼り付けます。確認のためもう一度マシンを動かしてみて、ブレが消えていればバランス取り作業は完了です。

■バランス取りにかかる費用は?

 店によって設定がいろいろですが、ホイールのバランス取りの工賃は1本あたりだいたい500円から1000円くらいが相場のようです。これを高いと感じて省いてしまうと、車体各部にダメージが蓄積しますし、最悪は事故にも繋がる恐れもあるのでケチらないほうが賢明だと思います。

 タイヤを購入する場合は、組み付けとバランス取り(+古タイヤの処分費用)の料金がコミコミの場合もけっこうありますので、その点を踏まえて店選びをするといいと思います。

 もし、自分のクルマが120km/h付近でハンドルがブレる症状を抱えているのなら、すぐにでもタイヤ専門店やカー用品店、または近くの整備工場に問い合わせして、ホイールのバランス取りを行ってもらいましょう。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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